武田薬品とOvid Therapeuticsとの希少発達性およびてんかん性脳症を対象とした新たな3つの試験によるTAK-935/OV935臨床開発プログラムの拡大について

2018年7月19日

- 現時点で登録が完了した成人発達性およびてんかん性脳症患者さんを対象とする臨床第1b/2a相試験に加え、2018年7-9月期に開始予定の3つの臨床試験を含む広範な臨床開発プログラムに拡大
- TAK-935/OV935の臨床開発にCDKL5遺伝子変異症候群および15q重複症候群の2つの希少疾患を追加

武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)とOvid Therapeutics Inc.(所在地:米国ニューヨーク州ニューヨーク、以下「Ovid社」)は、本日、TAK-935/OV935臨床開発プログラムの拡大について概要を発表しましたのでお知らせします。両社は、3つの臨床試験を開始する予定であり、それぞれドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群を有する小児患者さんを対象とした試験、サイクリン依存性キナーゼ様5(CDKL5)遺伝子変異症候群および15q重複症候群の患者さんを対象とした試験、実施されたTAK-935/OV935の臨床試験に参加した発達性およびてんかん性脳症(DEE)患者さんを対象とした延長試験です。これらの試験が、すでに患者登録が完了した成人のDEE患者さんを対象とした臨床第1b/2a相試験を含む臨床開発プログラムに加わり、複数の神経疾患への関与が示唆されているN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)シグナル受容体をTAK-935/OV935が調節する可能性についてさらなる検討が行われます。

武田薬品のNeuroscience Therapeutic Area Unit HeadであるEmiliangelo Rattiは、「当社およびOvid社は、TAK-935/OV935が新規作用機序を有し、希少てんかん治療剤となるポテンシャルを有していると考えています。このたび、小児患者さんおよび他の希少てんかん患者さんを含め、臨床試験プログラムを拡大することは、DEEの患者さんに対し革新的な治療オプションをお届けするという両社の真摯な取り組みを表すものです」と述べています。

DEEは、典型的には若年期に症状が現れる特定の希少てんかんの一群を示す用語であり、しばしば重度の認知機能障害や発達障害と関連しており、生涯を通じて頻繁な治療抵抗性の発作がみられます。これらの障害は、発症年齢、発育転帰、病因、神経心理学的障害など多岐にわたります。

Ovid社のChairmanおよびCEOであるJeremy Levinは、「当社は、武田薬品とともに、様々な希少てんかんおよび年齢集団におけるTAK-935/OV935の幅広い臨床開発プログラムの意義ある進歩を続けていきます。臨床開発プログラムに若年患者層、ならびにCDKL5遺伝子変異症候群および15q重複症候群を対象に加えることができたことは、両社のパートナーシップの強固さおよび質の高さを表しています。全世界にわたる武田薬品の事業展開、ならびに事業運営能力は傑出しており、両社の能力とコミットメントを分かち合うことで、治療オプションが限られている多くの希少てんかん患者さんのお役に立てることを望んでいます」と述べています。

<計画されている3つの臨床試験について>

  • 臨床第2相ARCADE試験:ARCADE試験は、CDKL5遺伝子変異症候群または15q重複症候群を有する2~17歳の小児患者さんを対象とするためにデザインされた臨床第2相、多施設共同、非盲検のパイロット試験です。本試験には、約30人の患者さん(各症候群で約15人)を登録する予定です。本試験の主要目的は、TAK-935/OV935を投与した患者さんにおける運動発作頻度の評価です。主な副次目的は、安全性、忍容性および薬物動態の評価です。
  • 臨床第2相ELEKTRA試験:ELEKTRA試験は、ドラベ症候群またはレノックス・ガストー症候群を有する2~17歳の小児患者さんを対象にTAK-935/OV935の有効性、安全性、および忍容性を評価するためにデザインされた多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照の臨床第2相試験です。本試験には、約125人の患者さんを登録する予定です。本試験の主要目的は、TAK-935/OV935を投与した患者さんにおけるプラセボと比較した発作頻度の評価です。主な副次目的は、安全性、忍容性、および薬物動態の評価です。
  • [ENDYMION]:計画中の試験は、実施されたTAK-935/OV935臨床試験に参加したDEE患者さんを対象とした多施設共同、非盲検、長期延長試験です。主要目的は、希少てんかん患者さんにTAK-935/OV935を2年以上投与した際の長期安全性および忍容性の評価です。副次目的は、TAK-935/OV935を2年以上投与した際の発作頻度への作用の評価です。

<TAK-935/OV935について>
TAK-935/OV935は、てんかん治療薬として開発中の、強力で選択性の高い、ファースト・イン・クラスのコレステロール24ヒドロキシラーゼ(CH24H)阻害剤です。CH24Hは、主に脳内に発現し、脳のコレステロール・ホメオスタシスにおいて中心的な役割を担っています。CH24Hは、コレステロールを24-ヒドロキシコレステロール(24HC)に変換し、その後24HCは脳から血漿循環に移行します。グルタミン酸は脳内の主要な神経伝達物質の1つであり、発作の開始および進展に関与していることが示されています。最近の論文では、CH24Hは、NMDAチャネルの調節を通じてグルタミン酸経路の過度な活性化に関与していることが指摘されており、てんかんなどの中枢神経系疾患の原因となっている可能性が示唆されています。武田薬品およびOvid社は、CH24Hを阻害して24HCレベルを減少させ、グルタミン酸経路の活性化を効果的に抑制する新たな作用機序により、希少てんかんを治療し得ると考えています。特にこの作用機序はCDKL5遺伝子変異症候群および15q重複症候群にとって重要と考えています。NMDA受容体を介するシナプス伝達は、これら症候群の発症機構の根底をなすものだからです。当社およびOvid社が把握している範囲では、TAK-935/OV935は、このようなメカニズムを有する唯一の臨床段階の開発品であり、販売許可を取得していません。

TAK-935/OV935の4つの臨床第1相試験は成功裏に終了し、治療上適切であると考えられる用量における忍容性、薬物動態および疾患標的への関わりが評価されました。前臨床モデルでは、新規PET(陽電子放射断層撮影)リガンドを用いて、脳内におけるTAK-935/OV935の標的占有率が測定されました。

<進行中の臨床第1b/2a相試験について>
TAK-935/OV935の臨床第1b/2a相試験の患者登録は完了しており、2018年の10月~12月にトップラインデータが得られる見込みです。本試験は、成人の希少DEE患者さんにおけるTAK-935/OV935の安全性、忍容性、薬物動態および薬力学を評価するためにデザインされた無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量漸増試験です。本試験では、発作頻度および24HCレベルのベースラインからの変化を探索的な評価項目としています。

<武田薬品およびOvid社が取り組む希少DEEについて>
[サイクリン依存性キナーゼ様5(CDKL5)遺伝子変異症候群(CDD)]
CDKL5遺伝子変異症候群は、CDDとも呼ばれ、X-染色体上のCDKL5遺伝子の変異が原因で起る極めて希少な重度神経疾患です。CDKL5遺伝子は正常な脳やニューロンの発達に不可欠なタンパク質生成を促し、その他の遺伝子の活性調節の役割を担います。CDDは、生後3~6カ月の乳児に治療抵抗性の早期発症てんかんを引き起こします。その他のよく見られる特徴として、重度の発達障害、知的障害、運動能の欠如、難眠、側弯症、視点障害、小頭症および様々な胃腸障害があります。

Loulou FoundationやInternational Foundation for CDKL5 Researchなどの患者支援団体によると、世界中で1,600を超える症例のCDKL5遺伝子変異症候群が書面で報告されており、本疾患に対する遺伝子検査がより一般的になるにつれ、特定される患者数も増加する傾向にあります。

[15q重複症候群]
15q重複症候群は、希少な重度神経疾患であり、染色体15q11.2-q13.1が重複することにより発症します。ほとんどの症例において、染色体変異の遺伝はありませんが、生殖細胞の形成時期や胚発生の間に変異が生じます。これらの15q重複症候群には、てんかん発作、早期の筋緊張低下症、発達障害および知的障害および自閉症的行動がみられ、最も重篤な症状は、コントロール困難な発作です。15q重複症候群の重篤度および関連する症状は、重複のサイズや場所、ならびにどの遺伝子が含まれているかにより変化します。一般集団における15q重複症候群の有病率を推定するには、人口統計学的データが不足しています。

[ドラベ症候群]
ドラベ症候群は、典型的な場合で生後1年以内に発症する重度の小児てんかんの一種です。本疾患の主な発症原因としてSCN1A遺伝子の変異が考えられています。本疾患を発症した子どもさんは、頻回の発作、筋肉制御不能、認知障害に苦しみ、約10%の患者さんは12歳になるまでに死亡します。一方、成人まで生存した患者さんの場合も、長期において知的発達やてんかん発作の転帰が典型例において極端に不良です。米国におけるドラベ症候群の発症率は、出生人数15,000~21,000人に1人の範囲です。

[レノックス・ガストー症候群]
レノックス・ガストー症候群は、DEEに含まれる複数の疾患の1つです。研究によると、米国では本症候群は18歳未満の小児の約14,500~18,500人に認められ、小児と成人の合計では30,000人を超えるとされています。小児てんかんの1~4%はレノックス・ガストー症候群によるものと推定されています。

<武田薬品/Ovid社の協力について>
Ovid社と武田薬品は、2017年1月、希少てんかん症候群領域におけるTAK-935/OV935を評価するためのグローバルな共同開発・販売契約を締結しました。本契約では、両社は、開発・製品化にかかる費用を折半するとともに、開発が成功した場合には利益も折半します。武田薬品は、本剤の日本における販売権を有するとともにアジアおよび他の定められた地域における販売にかかるオプション権を有します。一方、Ovid社は、本剤の開発を主導するとともに、米国、欧州、カナダおよびイスラエルでの販売権を獲得します。

<Ovid社について>
Ovid Therapeutics社(NASDAQ:OVID)はニューヨークを本拠としたバイオ医薬品企業であり、BoldMedicineTMのアプローチを利用し、希少神経疾患の患者さんの生活の向上に大きな変化をもたらす治療薬の開発を行っています。Ovid社は、幅広いファースト・イン・クラスのパイプラインを有しています。同社の主要な治験薬であるOV101は現在、アンジェルマン症候群および脆弱X症候群を適応として開発中です。またOvid社は、武田薬品と共同で、DEEを適応とするTAK-935/OV935を開発中です。

Ovid社についての詳細情報は、http://www.ovidrx.com/をご覧下さい。


以上