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クローン病に伴う肛囲複雑瘻孔治療薬Cx601(一般名:darvadstrocel)に対する欧州医薬品評価委員会(CHMP)からの承認推奨の見解について

クローン病に伴う肛囲複雑瘻孔治療薬Cx601(一般名:darvadstrocel)に対する欧州医薬品評価委員会(CHMP)からの承認推奨の見解について


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December 18, 2017
  • CHMPから承認推奨見解が示された欧州初の同種異系脂肪由来幹細胞懸濁剤
  • 既存治療が奏効せず侵襲的手術が必要な患者さんを対象に、Cx601が新たな治療オプションとなる可能性

武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)とTiGenix NV(本社:ベルギー ルーヴェン、以下「TiGenix社」)は、このたび、Cx601(一般名:darvadstrocel)について、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)より、承認を推奨する旨の見解が示されましたのでお知らせします。Cx601は、非活動期/軽度活動期の成人のクローン病患者に伴う、既存治療または生物学的製剤による治療を少なくとも1回以上実施したにも関わらず効果不十分な肛囲複雑瘻孔への適応が期待されています。本薬は、欧州で初めてCHMPから肯定的見解が示された同種異系の脂肪由来幹細胞の懸濁剤となります。

スペインのHospital Clinic of BarcelonaのHead of the Gastroenterology Departmentであり欧州クローン病・大腸炎学会(ECCO)の会長であるJulian Panés教授は、「このニュースを受け、欧州の内科医および外科医はクローン病の患者さんに対し、新規で侵襲の少ない代替治療オプションを提供できるものと期待しています。臨床試験においては、現在の標準治療よりも高い複合寛解率および低い再発率が示されています。肛囲瘻孔は、クローン病と診断されてから20年以内に患者さんの28%に発症すると推定されており、Cx601は、この重症かつ衰弱性の症状に苦しむ患者さんに新たな希望をもたらします」と述べています。

Cx601は、遺伝子治療や細胞治療等の先進治療医薬品(ATMP)に特化したEMAの科学委員会であるCATによる審査を受けました。CHMPの肯定的見解は、TiGenix社が行った臨床第3相試験であるADMIRE-CD試験の結果に基づくものです。本臨床第3相試験は、Cx601の有効性と安全性を検討するためにデザインされた、無作為化、二重盲検、プラセボ対照比較試験です。24週時点の成績がThe Lancet誌に掲載され、Cx601群は対照群と比較して有効性の主要評価項目である複合寛解について統計学的に有意に優れていることが示されました。治療下で発現した(非重篤および重篤な)有害事象の発現率と種類、並びに有害事象による中止例数は、Cx601群と対照群において同様であり、最も発現頻度の高い有害事象は肛門周囲膿瘍と直腸痛でした。また、追跡データにより、Cx601はクローン病に伴う難治性の肛囲複雑瘻孔患者に対し、52週間にわたって長期的に寛解を維持したことが示唆されました。

TiGenix社のVP Regulatory Affairs and Corporate QualityであるMaría Pascualは、「同種異系の脂肪由来幹細胞の懸濁剤として欧州で初めて肯定的見解が示されたことは、当社の成熟した技術レベルと、治療困難な疾患に対する新たな治療法提供の可能性を示唆しているものと確信しています。当社はこれまでEMAと緊密に連携し、厳しい評価項目を設定して適切にデザインされた臨床試験から得られた確固たるデータを提供してまいりました。また、当社は、世界中の様々な疾患の患者さんがCx601から最大の恩恵を受けることができるよう、米国での販売承認取得および効能追加に向けて本薬の開発に引き続き尽力してまいります」と述べています。

今回の肯定的見解は欧州委員会で審査され、今後数ヶ月で結論が出る見込みです。販売承認を取得した場合、Cx601はEUに加盟している28ヶ国のほか、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインでの販売が可能となります。

Cx601に関するライセンス契約に基づき、武田薬品は米国外における本薬の独占的開発・販売権を獲得しています。TiGenix社は、欧州でのCx601の販売承認取得時に、武田薬品から1,500万ユーロのマイルストンを受領します。両社は、TiGenix社から武田薬品への販売承認移管後の武田薬品による本薬の発売に向け、緊密に連携して準備を進めています。

武田薬品のGastroenterology Therapeutic Area Unitの HeadであるAsit Parikhは、「このたびのCHMPによる肯定的見解は、クローン病に伴う肛囲複雑瘻孔の患者さんに新たな治療オプションをお届けするための大きな一歩となります。今回、CHMPから肯定的見解が示されたことに関し、ADMIRE-CD試験にご協力いただいた医療関係者の皆さんや患者さんに深く感謝申し上げます。当社は、今後も、消化器系疾患に苦しむ患者さんに革新的な治療オプションをお届けできるよう全力で取り組んでまいります」と述べています。

肛囲複雑瘻孔は、クローン病の合併症の中でも治療困難な合併症のひとつと考えられており 、激痛、腫脹、感染症、失禁等を伴うことがあります。治療薬や外科的治療法の進歩にも関わらず、現在もなお治療困難な疾患であり、患者さんの生活の質(QOL)に深刻な悪影響を及ぼしています。

 

以上