悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス®」のCD30陽性皮膚T細胞リンパ腫に対する欧州医薬品評価委員会(CHMP)からの承認推奨の見解について

悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス®」のCD30陽性皮膚T細胞リンパ腫に対する欧州医薬品評価委員会(CHMP)からの承認推奨の見解について


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2017年11月15日

‐ アドセトリス投与群において、「4ヶ月以上にわたる持続的な客観的奏効率」、「無増悪生存期間の中央値」、「症状軽減」の評価項目で統計学的に有意な改善を示した臨床第3相試験ALCANZA試験の結果に基づく見解 ‐

当社は、このたび、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス®」(一般名:ブレンツキシマブ ベドチン)について、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)より、全身療法の前治療歴のある成人のCD30陽性皮膚T細胞リンパ腫(Cutaneous T-Cell Lymphoma:CTCL)の効能追加に関し、承認を推奨する旨の見解が示されましたのでお知らせします。アドセトリスは、CTCL患者の約半数において皮膚病変の腫瘍に発現するCD30を標的とした抗体薬物複合体です。現在のところ、アドセトリスはCTCLの治療薬として承認されていません。

 

英国バーミンガム大学病院皮膚科のJulia Scarisbrick医師は、「今回のCHMPの肯定的見解により、欧州でのCTCLの追加効能取得に向けて一歩前進しました。CTCLは、患者さんの生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼす消耗性疾患です。ALCANZA試験の結果により、標準治療であるメトトレキサートとベキサロテンと比較した際のアドセトリスの有効性および管理可能な安全性プロファイルが示されました。欧州で承認された場合、アドセトリスはCTCLに対する新たな治療オプションとなります」と述べています。

 

当社のOncology Clinical Research and DevelopmentのHeadでありVice PresidentであるJesus Gomez Navarroは、「今回のCHMPの肯定的見解は、CTCLの患者さんや医療関係者にとって非常に重要であり、CD30陽性の悪性腫瘍の患者さんの転帰を改善するというアドセトリスの役割が他の疾患でも示されました。CTCLの患者さんは、持続的な奏効を示すさらなる治療オプションを必要としています。当社は、欧州委員会がこの新たな効能に対するCHMPの肯定的見解を採用・承認し、アドセトリスを欧州のCTCL患者さんにお届けできるものと期待しています」と述べています。

 

今後、欧州委員会がアドセトリスの効能追加に関するCHMPの肯定的見解を審査する予定であり、欧州委員会は、欧州経済領域(欧州連合加盟28ヶ国ならびにノルウェー、リヒテンシュタインおよびアイスランド)において承認権限を有しています。

 

今回のCHMPの肯定的見解は、CD30陽性CTCL患者を対象に、標準治療であるメトトレキサートあるいはベキサロテンを投与した対照群とアドセトリス単独投与群の効果を比較検証するために計画された無作為化非盲検臨床第3相試験ALCANZA試験の結果に基づくものです。本試験では、主要評価項目を達成するとともに、独立評価機関の評価において、アドセトリス投与群は対照群と比較して、4ヵ月以上にわたる持続的な客観的奏効率(ORR4)の統計学的に有意な改善を示しました(p値<0.0001)。ORR4はアドセトリス投与群で56.3%、対照群で12.5%でした。完全寛解率、無増悪生存期間、治療中の症状軽減(Skindex-29アンケートによる評価)などのプロトコールで規定された主な副次評価項目の全てにおいて、アドセトリス投与群が統計学的に有意に優れていました。ALCANZA試験におけるアドセトリスの安全性プロファイルは、全般的に既存の添付文書の情報と差はありませんでした。あらゆるグレードで最も頻度の高い有害事象は、末梢性ニューロパチー、嘔気、下痢、疲労感、嘔吐、脱毛、そう痒、発熱、食欲減退、高トリグリセリド血症でした。アドセトリス投与群において、グレード3あるいはグレード4の最も頻度の高い有害事象は、末梢感覚神経障害(グレード4では無し)、疲労感、下痢、嘔気、嘔吐、そう痒でした。対照群において、グレード3あるいはグレード4の最も頻度の高い有害事象は、高トリグリセリド血症、そう痒、疲労感、発熱でした。

 

<皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)について>

リンパ腫はリンパ系に由来するがんの総称であり、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2つに大別されます。皮膚リンパ腫は、主に皮膚に発現する非ホジキンリンパ腫の範疇に属します。皮膚リンパ腫財団によると、CTCLは最もよく見られる皮膚悪性リンパ腫であり、通常うろこ状の紅班あるいは湿疹や慢性皮膚炎にしばしば類似した皮膚の肥厚が認められます。限局した皮膚病変には、皮膚腫瘍形成、潰瘍化および剥離が起こる場合があり、かゆみや感染によって複雑化します。進行期には、リンパ節、末梢血、内臓に転移します。文献によると、患者の約半数においてCTCL病変にCD30が発現します。

 

CTCLの標準治療は、皮膚への局所療法、放射線療法、全身療法、あるいはそれらの併用です。現在承認されている全身療法では、30~45%の客観的奏効率を示し、完全寛解率は低いのが現状です。

 

以上