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デング熱ワクチン(TAK-003)が、デング熱流行地域における小児および若年者に対して幅広い免疫応答を誘発した臨床第2相試験の中間解析結果をLancet Infectious Diseasesにて発表

デング熱ワクチン(TAK-003)が、デング熱流行地域における小児および若年者に対して幅広い免疫応答を誘発した臨床第2相試験の中間解析結果をLancet Infectious Diseasesにて発表


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March 30, 2017

- 2歳から17歳までの被験者において本ワクチンの2回接種が4種すべてのデングウイルスに抗体を誘発
- 今までの安全性プロファイルと同様に、安全性の懸念点みられず

当社は、このたび、当社の4価弱毒生デング熱ワクチン(TAK-003)を用いたDEN-204試験(現在も実施中)における6ヵ月時点での中間解析結果*が、Lancet Infectious Diseasesに掲載されたことをお知らせします。 

本試験は、デング熱流行国であるドミニカ共和国、パナマおよびフィリピンに居住する2歳から17歳までの被験者1,794名を対象にTAK-003の安全性および免疫原性を評価したものです。被験者は、TAK-003を1回または3ヵ月間隔で2回、もしくはプラセボを接種しました。 

本論文では、デングウイルスの感染歴に関係なく、TAK-003が4種すべてのデングウイルス血清型に対して幅広く中和抗体を誘発したことを報告しています。デングウイルスに対する血液中の抗体存在率(血清陽性率)は、接種スケジュールの違いに関係なく、4種の血清型についてワクチン接種後1ヵ月時点までに87~100%に増加し、6ヵ月時点においても維持(85~100%)していました。また、本中間解析結果では、本ワクチン接種前にデングウイルスに感染していない被験者において、2回のワクチン接種により3型デングウイルス(DENV-3)および4型デングウイルス(DENV-4)に対する血清陽性率がより増加しました。この結果から、現在実施中の有効性を評価する臨床第3相グローバル検証試験では3ヵ月間隔で2回接種する投与方法を用いています。 

本中間解析結果において、TAK-003は小児および若年者に対して良好な安全性プロファイルおよび十分な忍容性を示しました。誘発された局所反応および全身性の有害事象に関して、ワクチンに関連した重篤な有害事象は発現しておらず、予想されるワクチンに対する免疫応答、ならびに関連する兆候および症状(副反応)は限定的なものでした。報告された有害事象の数は、他の弱毒生ワクチンで報告されたものと同程度もしくは少なく、その安全性プロファイルは、既に実施した臨床第1相および臨床第2相試験における結果との一貫性がみられました。 

デング熱は、痛みが強く、衰弱性の、蚊媒介感染症で、4種のウイルスのうちいずれか1つに感染するだけで発症します。世界の人口の4割がデング熱の脅威にさらされており、デング熱はあらゆる年齢層の人々に影響を及ぼすとともに、世界中の子供達にとって重篤な疾患や死亡の主な要因となっています。 

本論文の筆頭著者であり、the Panama Children’s HospitalのInfectious DiseasesのHeadおよびClinical ResearchのDirectorであるXavier Sáez-Llorens博士は、「ワクチン接種後の血清反応陽性率は、ワクチンの有効性を判定するにあたって重要な指標となる可能性があるため、TAK-003接種後に、接種前の血清反応が陰性の被験者であっても、4種のデングウイルス血清型すべてに対して免疫原性を示したことは興味深い所見です。デング熱感染後の異なる血清型への更なる感染は、重篤化の主要なリスクファクターであり、4種すべての血清型に対して効果を示す安全かつ有効なワクチンが求められています。今回得られた抗体反応の持続性および感染防御に対する細胞性免疫応答の寄与は、さらなる研究を推進するものです」と述べています。 

当社のGlobal Dengue Program HeadであるDerek Wallaceは、「本試験および他の臨床第1相試験、臨床第2相試験で得られた安全性および免疫原性のデータは、この重要なワクチンの開発を継続していくことを支持するものです。現在実施中の臨床試験においても、あらゆる年齢層で、デングウイルス感染歴の有無に関わらず、4種のデングウイルス血清型すべてに対し感染予防効果が示されることを期待しています」と述べています。 

当社は、2016年9月に臨床第3相検証試験であるTIDES試験(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)を開始しました。この無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同試験は、デング熱流行地域であるラテンアメリカおよびアジアにおいて、TAK-003を3ヵ月間隔で2回接種したときの有効性、安全性および免疫原性を評価することを目的に計画されました。主要評価項目はデングウイルス感染歴の有無に関わらず、あらゆる血清型によって引き起こされるすべての重症度へのデング熱に対する本ワクチンの予防効果で、その結果は2018年中に得られる予定です。TIDES試験においては、それぞれの血清型によって誘発されるデング熱への有効性、組み入れ時点における被験者の状態に関わらずあらゆる血清型によって引き起こされるデング熱への有効性、デング熱による入院に対するワクチンの有効性、およびあらゆる血清型によって誘発される重篤なデング熱に対するワクチンの有効性が、副次評価項目として含まれています。 

*中間解析は、実施中の臨床試験において、予め計画に定めたうえで、最終データ収集前に実施する試験成績評価のことです。

 

<臨床第2相試験(DEN-204試験)について>
臨床第2試験であるDEN-204試験は、デング熱流行国(ドミニカ共和国、パナマおよびフィリピン)に居住する1,794名の健康な被験者を対象に、TAK-003の単回または2回接種の安全性および免疫原性を評価する無作為化、二重盲検、プラセボ対照多施設共同試験です。2歳から17歳の被験者は4つのグループのいずれかに無作為化され、中間解析が行われたワクチン接種後6ヵ月の時点では、2つのグループで単回接種、1つのグループで3ヵ月間隔で2回接種、1つのグループでプラセボが接種されました。本中間解析における主要評価項目は、試験実施計画書に適合した対象集団(PPS)における4種のデングウイルス血清型(DENV-1-4)に対する中和抗体の幾何平均抗体価(GMTs: geometric mean titers、免疫応答の指標)です。試験実施計画書からの重大な逸脱がなく、ワクチン接種前およびワクチン接種後1、3、6ヵ月時点での評価可能な血液データおよび免疫原性データを有する被験者グループをPPSとして定義しました。副次評価項目には、重篤な有害事象、血清陽性率(抗体を発現した被験者の割合)および部分集団における有害事象の発現割合が含まれています。

 

<デング熱ワクチン(TAK-003)について>
当社の4価デング熱ワクチン(TAK-003)は、4種のワクチンウイルス型すべての遺伝子型の基礎となる弱毒化された生の2型デングウイルス(DENV-2)バックボーンをベースに構築されています。当社では、デングウイルスの感染歴の有無を問わず、小児・成人、旅行者や流行地域の住民など、あらゆる地域でデング熱の危険にさらされている方々を感染から守るために、デング熱ワクチンの開発に取り組んでいます。 

臨床第1相試験の結果は、 Journal of Infectious DiseasesLancet Infectious Diseasesおよび Vaccineに掲載されました。プラセボ対照、多施設共同、年齢降順(age-descending)の臨床第2相試験であるDEN-203試験の中間解析結果は、2015年10月の米国熱帯医学会(American Society of Tropical Medicine and Hygiene:ASTMH)で発表され、プラセボ対照、多施設共同の臨床第2相試験であるDEN-204試験の中間解析結果は2016年5月の第5回汎米デング熱研究ネットワーク会議(Pan-American Dengue Research Network Meeting)および2016年11月のASTMHで発表されました。

 

<当社のワクチンに対する取り組みについて>
ワクチンは、毎年200万人以上の生命を救い、公衆衛生に劇的な変化をもたらしました。当社は、70年にわたり、人々の健康を守るため日本でワクチンを供給してきました。現在、当社のグローバルワクチンビジネスは、デング熱、ジカ熱、ノロウイルスやポリオなど、世界で最も大きな課題となっている感染症に対し、最先端の取り組みを行っています。当社はワクチン開発、製造およびマーケットアクセスに関する豊富な実績と深い知識を有しており、世界で最も緊急性の高い公衆衛生ニーズに対応すべく、パイプラインの充実に努めてまいります。

 

以上