潰瘍性大腸炎およびクローン病患者を対象としたvedolizumabの5年間の非盲検長期投与試験結果の発表について

2017年2月20日

- 第12回Congress of the European Crohn’s and Colitis Organisation(ECCO)において中等度から重度の潰瘍性大腸炎およびクローン病患者の臨床的寛解の維持に関するvedolizumabの良好なベネフィット・リスク・プロファイルを示すGEMINIⅠの事後解析データも発表

当社は、2017年2月15-18日にバルセロナで開催された第12回Congress of the European Crohn’s and Colitis Organisation(ECCO)において、現在実施中の非盲検のGEMINI長期安全性試験(LTS試験)の中間解析結果を発表しましたのでお知らせします。今回の結果は、中等度から重度の潰瘍性大腸炎およびクローン病患者を対象とした2つのvedolizumabのレスポンダーに対する5年間の非盲検長期投与試験における有効性および安全性に関する中間解析結果です。本結果により、vedolizumabの長期治療は、5年以上にわたる臨床的奏効・寛解の維持に加え、健康に関連するクオリティ・オブ・ライフ(HRQL)の改善をもたらすことが示されました。 

LTS試験は、現在実施中の中等度から重度の活動性炎症性腸疾患(IBD)に対するvedolizumabの長期安全性を評価する非盲検前向き試験です。GEMINIⅡ試験よりクローン病患者146名およびGEMINIⅠ試験より潰瘍性大腸炎患者154名が組み入れられました。今回の中間解析では、vedolizumabを5年間投与された患者の臨床的有用性が評価されました。クローン病患者58名および潰瘍性大腸炎患者54 名は、データ解析前に本試験を中止[それぞれ11名(19%)、19名(35%)の患者が、有効性の欠如により本試験を中止]しました。クローン病患者27名および潰瘍性大腸炎患者37名は、評価対象となる5年間の投与(評価)を完了しませんでした。クローン病患者61名および潰瘍性大腸炎患者63名が解析対象となりました。クローン病患者は、臨床的奏効[ベースラインからHarvey-Bradshaw指標(Harvey-Bradshaw index:HBI)の3ポイント以上の改善]で評価されました。臨床的寛解は、HBIが4ポイント以下と定義されました。潰瘍性大腸炎患者は、臨床的奏効[部分的Mayoスコア(Partial Mayo Score:PMS)の2ポイント以上の改善かつベースラインから25%以上の改善、更に直腸出血サブスコアがベースラインから1ポイント以上の改善、又は直腸出血サブスコアが1ポイント以下を伴う]で評価されました。臨床的寛解は、PMSが2ポイント以下かつ個々のサブスコアが1ポイント以下と定義されました。今回の中間解析では、5年間投与を完了した中等度から重度の活動性潰瘍性大腸炎患者63例のうち98%が臨床的奏効、90%が臨床的寛解という結果が示されました。また、5年間投与を完了した中等度から重度の活動性クローン病患者61例のうち95%が臨床的奏効、89%が臨床的寛解という結果が示されました。また、vedolizumabの長期投与により、炎症性腸疾患質問票(IBDQ)およびEuro Quality of Life-5D visual analogue scale(EQ-5D VAS)によって評価されたHRQLが改善されることも示されました。今回報告された安全性プロファイルは、既に報告されているLTS試験におけるvedolizumabの3年間投与時の中間解析と一貫性のある結果が得られました。 

ベルギー University Hospitals LeuvenのSeverine Vermeire教授は、「今回発表された最新の知見は、中等度から重度の成人の活動性潰瘍性大腸炎およびクローン病を有する患者さんに対する長期治療時のオプションの一つであるvedolizumabの一貫した安全性プロファイルおよび有効性を示すものです。これらの慢性疾患を有する患者さんに対し、vedolizumabの有用性を示唆する成績が引き続き示されたことを、嬉しく思います」と述べています。 

GEMINIⅠ試験の事後解析による追加データでは、投与14週時点で寛解と判断された中等度から重度の潰瘍性大腸炎患者において、vedolizumab投与群(n=620)がプラセボ投与群(n=149)と比較して、有意に持続寛解効果[投与26週時、38週時および52週時における臨床的寛解(PMSが2ポイント以下かつ個々のサブスコアが1ポイント以下)、および直腸出血スコアが0と定義]が高かったことが報告されています。本研究の解析対象には、GEMINIⅠ試験に組み入れられ、vedolizumabによる導入療法(2回の投与)を実施した後、46週間のvedolizumabまたはプラセボによる維持療法を実施した患者も含まれています。Vedolizumabの維持療法により、60%の患者が投与14週から52週時点まで臨床的寛解を維持しており、プラセボ投与では37%の維持でした。

中等度から重度の潰瘍性大腸炎およびクローン病患者に対する臨床的有用性および安全性を評価する際には、実臨床下における様々なデータによる知見が、無作為化の臨床試験データの補足情報として重要となります。Vedolizumabに関する実臨床下での有用性について報告された文献について、MEDLINE、CochraneおよびEmbaseといったシステマティックレビューやメタ解析においてまとめられた文献や学会抄録(n≧10)を検索しました(報告期間:2014年5月1日から2016年10月31日)。その結果、20コホートで合計98の研究において、1年以上vedolizumabを投与されている1,714名の患者(潰瘍性大腸炎703名、クローン病1,010名)に対する実臨床下における奏効および寛解の評価を実施していました。大多数の患者(71%以上)では、vedolizumab投与前に1剤以上の抗TNFα製剤が投与されており、評価指標としてPMS、簡易臨床的大腸炎活動度(Simple Clinical Colitis Activity Index)、HBI、クローン病活動度(Crohn’s Disease Activity Index)および医師総合評価(Physician Global Assessment)が用いられていました。蓄積された実臨床下における臨床的奏効率、臨床的寛解率および安全性データにより、潰瘍性大腸炎およびクローン病患者に対するvedolizumab投与の良好なベネフィット・リスク・プロファイルが示されました。 

当社は、潰瘍性大腸炎またはクローン病を有する患者さんと患者さんを取り巻く専門的な環境をサポートし続けるという目標とともに、現在実施中のvedolizumabの試験に取り組んでまいります。第12回Congress of the European Crohn’s and Colitis Organisation(ECCO)では、潰瘍性大腸炎およびクローン病患者に対する長期維持療法の発表に加え、製造販売後調査の追加結果および実臨床下における安全性データを含む計6つの口頭発表および15のポスター発表が行われました。

 

<潰瘍性大腸炎およびクローン病について>

潰瘍性大腸炎およびクローン病は炎症性腸疾患の二大疾患であり、消化管粘膜に炎症を発生させます。潰瘍性大腸炎は直腸、結腸を含む大腸のみに発現します。潰瘍性大腸炎では腹部不快感、下痢時の出血あるいは排膿が最もよくみられる症状です。クローン病は、消化管内部のあらゆる部位で炎症を惹起し、腹痛、下痢、直腸出血、体重減少、発熱が最もよくみられます。両疾患については、多くの研究者が遺伝子や体内の免疫システム、さらに外的な環境要因との相互作用がこれらの疾患を引き起こすと指摘していますが、正確な原因はいまだ不明です。炎症性腸疾患治療薬は、寛解の達成、維持、あるいは症状再発までの期間を延長させることを目指すものです。

 

Entyviovedolizumab)について>

Vedolizumabは、消化管においてα4β7インテグリンを特異的に阻害するヒト化モノクローナル抗体であり、クローン病および潰瘍性大腸炎を対象に開発しています。Vedolizumabは、腸内の細胞接着分子であるMAdCAM-1およびフィブロネクチンへのα4β7インテグリンの結合を阻害しますが、VCAM-1への結合は阻害しません。MAdCAM-1は、消化管内の血管およびリンパ節で優先的に発現します。α4β7インテグリンは、循環白血球のサブセットに発現します。これらの細胞は潰瘍性大腸炎やクローン病における炎症発生プロセスに関与するとされています。α4β7インテグリンの結合を阻害することによって、本薬は、特定の白血球が腸組織へ浸潤することを抑制できると考えています。

 

以上