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VedolizumabのGEMINI II 試験およびGEMINI III試験に関する事後解析報告について

VedolizumabのGEMINI II 試験およびGEMINI III試験に関する事後解析報告について


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December 12, 2016

- 抗TNFα抗体による治療歴のない患者および抗TNFα抗体による治療が失敗した患者に対し、
- vedolizumabがさらなる治療選択肢となる可能性を示唆した解析結果がInflammatory Bowel Diseases誌に掲載

当社は、このたび、中等度から重度の活動期クローン病患者を対象にvedolizumab(一般名、米国・欧州製品名:Entyvio)の治療効果を検討したGEMINI II試験およびGEMINI III試験のデータに関し、事前に規定されていた、および事後に探索的に検討されたアウトカムに基づく解析結果がInflammatory Bowel Diseases誌に掲載されましたのでお知らせします。本論文において、抗TNFα抗体による治療が失敗した患者と比較して、従来治療の失敗後にバイオ医薬品の一次治療としてvedolizumabの投与を受けた患者の奏効率が高いことが示されました。

Vedolizumabの導入期6週時点で奏効した患者のうち、抗TNFα抗体による治療歴のない患者の48.9%(プラセボでは26.8%)および抗TNFα抗体による治療が失敗した患者の27.7%(プラセボでは12.8%)が、52週時点で寛解を達成しました。

ニューヨークのマウントサイナイ アイカーン医科大学 Henry D. Janowitz Division of GastroenterologyのChiefであるBruce E. Sands医師は、「抗TNFα抗体による治療の失敗は、その後に投与する抗TNFα抗体の奏効率の低さと関連しているため、医師および患者さんは症状の寛解が持続する代替治療薬へのアプローチを検討すべきと考えています。本解析は、抗TNFα抗体による治療が失敗した患者さんに対する代替治療薬としてのvedolizumabの評価のみならず、従来の治療が失敗した患者さんに対する一次治療薬としての同薬の評価をさらに高めるものです」と述べています。

本論文では、GEMINI II試験とGEMINI III試験に参加した患者の中で、抗TNFα抗体による治療歴のない患者516名および抗TNFα抗体による治療が失敗した患者960名のデータについて分析が行われました。

抗TNFα抗体による治療歴のない患者においては、vedolizumab群の寛解率はプラセボ群と比較して、6週時点(12.6%の差、95%信頼区間:3.7~21.4)および10週時点(11.3%の差、95%信頼区間:1.5~21.1)において有意に高いことが示されました。また、抗TNFα抗体による治療に失敗した患者においても、vedolizumab群の寛解率はプラセボ群と比較して、10週時点(11.5%の差、95%信頼区間:4.5~18.6)で有意に高いことが示されました。有害事象については、各群間で差異は示されませんでした。

本解析では、vedolizumab群はプラセボ群と比較して、治療に失敗した抗TNFα抗体の数に関わらず維持療法の52週時点で高い臨床的有効性を示しました。また、前治療で使用した抗TNFα抗体の一次無効、二次無効、不耐性に関わらず、あるいは前治療で使用した抗TNFα抗体の数に関わらず、vedolizumab群はプラセボ群と比較して導入療法の有効性が高い傾向が示されました。二次または三次治療の抗TNFα抗体に切り替えた際に臨床的奏効率/寛解率が低下する可能性があるため、今回の結果は、vedolizumab などの異なる作用機序を有する治療薬への切り替えを評価することを支持しています。

当社のVice Presidentでありスペシャリティ消化器系疾患領域のGlobal Medical HeadであるSharon O’Byrneは、「クローン病は慢性炎症性疾患であり、QOLを大きく低下させるため、有効で安全な治療薬による長期の疾病管理が必要となります。治療の主な目的は、可能な限り効果的に臨床的寛解を達成・維持することです」と述べています。

 

GEMINI II試験およびGEMINI III試験について>

中等度から重度の活動期クローン病患者を対象とした、プラセボ対照の導入および維持療法に関するGEMINI II試験では、主要評価項目である6週時点および52週時点の臨床的寛解(CDAIスコアで150ポイント以下)において、vedolizumab群はプラセボ群と比較して統計学的に有意な改善を示しました。6週時点では、もうひとつの主要評価項目であるCDAI-100奏効(CDAIスコアのベースラインからの100ポイント以上の減少)の達成に関し、vedolizumab群およびプラセボ群との間で有意差は認められませんでした。なお、52週時点においてCDAI-100奏効および副腎皮質ステロイドの投与無しで寛解を達成した患者の割合は、vedolizumab群はプラセボ群と比較して有意に高いことが示されました。Vedolizumab群の814名で報告された最も発現頻度の高い有害事象(8%以上)は、クローン病の増悪、関節痛、発熱、鼻咽頭炎、頭痛、悪心、腹痛であり、プラセボ群の301名で報告された最も発現頻度の高い有害事象(8%以上)は、クローン病の増悪、頭痛、関節痛、発熱、腹痛、悪心、鼻咽頭炎でした。

GEMINI III試験では、抗TNFα抗体による治療が失敗した、中等度から重度の活動期クローン病患者における6週時点での臨床的寛解率は、vedolizumab群およびプラセボ群の間で統計学的な有意差は認められませんでした。しかしながら、抗TNFα抗体による治療が失敗した患者および全体の患者においては、6週時点でCDAI-100奏効(CDAIスコアのベースラインからの100ポイント以上の減少)に達した患者の割合および10週までに臨床的寛解に達した患者の割合は、プラセボ群と比較して、vedolizumab群が有意に高いことが示されました。10週時点における寛解率は、プラセボ群(12.1%)よりもvedolizumab群(26.6%)が高いことが示されました。

抗TNFα抗体による治療が失敗した患者さんにおける、6週時点での臨床的寛解率は、vedolizumab群で15.2%(24/158例)、プラセボ群で12.1%(19/157例)でした。主要評価項目および副次評価項目の結果から、抗TNFα抗体による治療が失敗したクローン病患者において、臨床的寛解に及ぼすvedolizumabの効果は、投与開始後6週から10週になって明らかになる可能性が示唆されました。Vedolizumab投与群において最も発現頻度の高い有害事象(4%以上)は、悪心、頭痛、関節痛、鼻咽頭炎、腹痛、上気道感染症および嘔吐でした。

Vedolizumabは消化管選択的ヒト化モノクローナル抗体として販売許可を取得し、Entyvioの製品名で欧州において発売されています。また、Entyvioは2014年に米国でも販売許可を取得しました。Entyvioは現在54カ国で承認されており、従来の治療または抗TNFα抗体による治療のいずれかに対して効果不十分、効果が持続しない、あるいは不耐性である成人の中等度から重度の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病の治療薬として承認された初めてかつ唯一のバイオ医薬品です。

 

以上