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アドセトリスの皮膚CD30陽性T細胞リンパ腫を対象とした臨床第3相試験ALCANZAの良好な結果について

アドセトリスの皮膚CD30陽性T細胞リンパ腫を対象とした
臨床第3相試験ALCANZAの良好な結果について


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December 5, 2016

- アドセトリスの連続した4つ目の良好な臨床試験結果を米国血液学会のオーラルセッションで発表

- アドセトリス群において、4ケ月以上にわたる持続的な客観的奏効率と無増悪生存期間の中央値、および客観的奏効率の統計学的に有意な改善ならびに症状の軽減を達成

- アドセトリスの安全性プロファイルは、概して既存の添付文書の情報と一致

武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)とSeattle Genetics, Inc.(本社:米国ワシントン州ボセル、以下「シアトルジェネティクス社」)は、このたび、第58回米国血液学会(American Society of Hematology :ASH)年次総会において、皮膚T細胞リンパ腫に対するアドセトリス(一般名:ブレンツキシマブ ベドチン)の効果を検討した臨床第3相試験であるALCANZA試験のデータを12月3日(土)のオーラルセッションで発表しましたのでお知らせします。4ケ月以上にわたる持続的な客観的奏効率の統計学的に有意な改善というALCANZA試験における主要評価項目の達成については、既に2016年8月に公表しています。本試験結果に基づき、アドセトリスは、最も一般的なサブタイプの皮膚T細胞リンパ腫、菌状息肉症、皮膚原発未分化大細胞リンパ腫の効能で米国食品医薬品局(FDA)よりBreakthrough Therapyの指定を受けました。アドセトリスは、皮膚T細胞リンパ腫患者の約50%において皮膚病変の腫瘍に発現するCD30を標的とした抗体薬物複合体です。現在のところ、アドセトリスは同疾患の治療薬として承認されていません。

スタンフォード大学医学部のYoun H. Kim医師は、「皮膚T細胞リンパ腫は患者さんのQOLに大きな影響を与える、進行期では予後不良で治療の難しい疾患です。現在承認されている全身療法のうち、確実かつ持続的に奏効する治療薬はほとんどなく、いずれの臨床試験でもメトトレキサートあるいはベキサロテンなどの標準療法より高い有効性を示した全身療法はこれまでありません。ALCANZA試験は、皮膚T細胞リンパ腫を対象に新規の治療薬とメトトレキサートあるいはベキサロテンなどの標準治療薬を比較した初めての無作為化臨床第3相試験であり、対照群である標準療法群と比較してアドセトリス群が有効であることを示した確固たるエビデンスです。アドセトリスは概して忍容性が良好でこれまでの試験結果と一致しており、最も頻度の高い有害事象である末梢神経障害による治療中止率はあまり高くなく、管理可能でした」と述べています。

武田薬品のOncology Therapeutic Area UnitのExecutive Medical DirectorであるDirk Huebnerは、「本学会で発表されるALCANZA試験のデータは、皮膚CD30陽性T細胞リンパ腫の患者さんの治療にアドセトリスが有効である可能性を示すものです。本疾患の患者さんには、持続的奏効をもたらす治療オプションに対する切実なニーズがあります。ALCANZA試験では、主要評価項目と副次評価項目の全ての項目においてアドセトリス群が統計学的に有意に優れていることが示されました。アドセトリス群の4ヶ月以上にわたる客観的奏効率は56.3%、無増悪生存期間の中央値は16.7ヶ月、一方、対照群の4ヶ月以上にわたる客観的奏効率は12.5%、無増悪生存期間の中央値は3.5ヶ月であり、アドセトリス群は対照群と比較して有意に高い改善率を示しました。安全性に関するデータは、添付文書の内容と同様でした。当社は、世界中の規制当局と連携し、皮膚T細胞リンパ腫の患者さんに新たな治療選択肢をお届けできるものと期待しています」と述べています。

シアトルジェネティクス社のChief Medical Officer兼Executive Vice PresidentであるJonathan Drachmanは、「本学会で発表される皮膚CD30陽性T細胞リンパ腫を対象としたALCANZA試験のデータでは、アドセトリス群はメトトレキサートあるいはベキサロテンという標準療法群である対照群と比較し、有効であることが示されています。アドセトリスは、今回のALCANZA試験を含めCD30陽性リンパ腫に対する基礎治療として幅広い評価を行った、連続して実施された4つの試験全てにおいて良好な結果を示しています。本試験の結果に基づき、アドセトリスはFDAによりBreakthrough Therapyの指定を受けており、当社は、本疾患に関する効能追加申請を2017年の前半に提出する予定です」と述べています。

 

CD30陽性皮膚T細胞リンパ腫患者において、医師選択の治療(メトトレキサートまたはベキサロテン)と比較し、統計学的に優れた結果を示したブレンツキシマブ ベドチンの治療:臨床第3相試験ALCANZA(抄録番号182、オーラルプレゼンテーション、2016123日)

スタンフォード大学Youn Kim医師によるプレゼンテーションの概要:

  • 本試験では、主要評価項目を達成するとともに、独立判定機関の評価において4ケ月以上にわたる持続的な客観的奏効率(ORR4)について、アドセトリス群は対照群と比較して統計学的に有意な改善を示唆。ORR4はアドセトリス群で56%、対照群で12.5%(p値<0.001)。
  • 完全寛解(CR)率、無増悪生存期間 (PFS)、治療中の症状軽減(Skindex-29)などのプロトコールで規定された主な副次評価項目の全てにおいて、アドセトリス群が統計学的に有意に優れていた。
    • アドセトリス群におけるPFS中央値は16.7ケ月、対照群は3.5ケ月(HR: 0.270、95%CI:0.169~0.430、p値<0.001)。
    • アドセトリス群におけるCR率は15.6%、対照群は1.6%(p値=0.0046)。
    • Skindex-29は、アドセトリス群は平均で最大-27.96の低下、対照群は-18.9の低下(p値<0.001)。平均最大低下量の差は-18.9(95% CI :-26.6~-11.2)。
  • 投与サイクル数の中央値は、アドセトリス12サイクル(36週)、ベキサロテン17週、メトトレキサート9週。
  • ALCANZA試験におけるアドセトリスの安全性プロファイルは、全般的に既存の添付文書の情報と差はなし。
    • アドセトリス群あるいは対照群のあらゆるグレードで最も頻度の高い有害事象(15%以上)は、末梢性ニューロパチー(アドセトリス群、対照群ともに67%)、嘔気(アドセトリス群36%、対照群13%)、下痢(29%、6%)、疲労感(29%、27%)、嘔吐(17%、5%)、脱毛(15%、3%)、そう痒(17%、13%)、発熱(17%、18%)、食欲減退(15%、5%)、高トリグリセリド血症(2%、18%)。アドセトリス群において、グレード3あるいはグレード4の最も頻度の高い有害事象は、末梢感覚神経障害(グレード4では無し)、疲労感、下痢、嘔気、嘔吐、そう痒。対照群において、グレード3あるいはグレード4の最も頻度の高い有害事象は、高トリグリセリド血症、そう痒、疲労感、発熱。
    • アドセトリス群では67%、対照群では6%の患者で末梢性ニューロパチーが報告された。大多数の末梢性ニューロパチーは、グレード1(26%)または2(32%)。グレード3の末梢性ニューロパチーは9%、グレード4の末梢性ニューロパチーは報告なし。中央値22.9ケ月の追跡調査中に、アドセトリス群の82%の患者で末梢性ニューロパチーの消失または改善が報告された。
    • 有害事象により中止に至った患者は、アドセトリス群24%、対照群8%。重篤な有害事象はアドセトリス群と対照群(それぞれ29%)で同程度。アドセトリス群における4例の死亡(うち3例は治験薬と関連のない死亡)は、最終投与後30日以内に発生。

 

以上