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Crescendo社と武田薬品によるHumabody®に関する提携について

Crescendo社と武田薬品によるHumabody®に関する提携について


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October 11, 2016

- 腫瘍標的抗体薬物複合体およびがん免疫調節薬の開発に対して武田薬品がCrescendo社に合計で最大7億9000万米ドルを出資

武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)とHumabody®に基づく創薬・開発企業であるCrescendo Biologics Limited(本社:英国ケンブリッジ、以下「Crescendo社」)は、このたび、アンメットメディカルニーズの高いがん領域におけるHumabodyを用いた治療薬の創製、開発および販売に関して、グローバルでの戦略的提携およびライセンス契約を締結しましたので、お知らせします。

 

Crescendo社は今後、独自の遺伝子改変プラットフォームと工学的専門性を活かし、武田薬品が選定した複数の標的に対するHumabody製剤(Humabody抗体薬物複合体およびがん免疫調節薬)を創製するとともに、その設計最適化を行います。

 

武田薬品Chief Medical and Scientific OfficerのAndy Plumpは、「当社は、Crescendo社ならびに同社の他に類を見ない、小分子かつカスタマイズ可能なHumabody製剤を開発する革新的な技術に、大きな可能性を感じています。本提携はがんの治癒を目指す当社にとって極めて重要であり、当社は、Crescendo社の技術を活用することにより、次世代の、高度なモジュール構成のがん分子標的治療薬を開発することが可能になります」と述べています。

 

Crescendo社のCEOであるPeter Packは、「武田薬品との提携はCrescendo社にとって極めて大きな一歩です。この提携によって、当社の遺伝子改変プラットフォームと、小さくて特徴的なHumabody製剤を迅速に作製・設計する能力が実証されることになるでしょう。業界をリードするグローバル製薬会社である武田薬品は、がん領域における突出した専門性を有しており、患者さんに革新的な新薬をお届けしています。当社にとって初めてとなる今回の大規模提携を通じて、当社は革新的なHumabody製剤候補のパイプラインをさらに拡充し、開発を加速させてまいります」と述べています。

 

本契約に基づき、Crescendo社は、契約一時金、出資金、研究費、前臨床開発費として、最大で合計3,600万米ドルを受け取る権利を有し、武田薬品は、本提携に伴うHumabody製剤の開発権と販売権を取得します。また、Crescendo社は、臨床開発、承認申請、販売の各段階において、最大で合計7億5,400万米ドルを受け取る権利とともに、武田薬品から売上に応じたロイヤリティを受け取る権利を有します。

 

<Crescendo社について>

Crescendo社は、がん領域における強力で非常に特徴的なHumabody製剤の創出・開発を行うバイオ医薬品会社です。Humabodyは、同社が特許を取得しているプラットフォーム技術であり、信頼性と生物活性の高い完全ヒト型のVHドメインをベースにしています。Crescendo社は、独自開発あるいは戦略的パートナーシップにより、Humabody抗体薬物複合体および多重特異性がん免疫調節薬などの新規性の高い特徴的な新薬のパイプラインを構築しています。同社のプラットフォーム技術は、独自の遺伝子改変マウス(特許取得済)を中心とするもので、マウス生体内でのヒト型VHドメインをもつ重鎖抗体への変換を可能とし、各Humabodyの親和性や生物物理学特徴を自然に最適化することができます。Humabodyは、モノクローナル抗体と異なり、費用対効果の高い小分子製剤であることによる利点と、新規の二重/多重特異性製剤を作製する上でモジュール性が高く迅速に使える工学的アプローチを兼ね備えたユニークな技術です。Crescendo社は英国ケンブリッジを拠点とし、Sofinnova Partners社、Imperial Innovations社、Astellas Venture Management社、EMBL Ventures社などの優良投資家からの出資を受けています。Crescendo社の詳細については、www.crescendobiologics.comをご覧ください。

 

<Humabody®について>

Humabodyは、分子サイズが極めて小さく活性の高い新規タンパク製剤であり、完全ヒト型のVHドメインをベースにしています。Humabodyは、その優れた生物物理学的特性により、迅速かつ効率的に多様な二重/多重特異性Humabody製剤候補を作製・スクリーニングできることから、新しい生物学と作用機序への道を切り開いてきました。Crescendo社は、Humabodyの遺伝子改変プラットフォーム(特許取得済)を用いて、Humabody抗体薬物複合体および多重特異性がん免疫調節薬における次世代のがん治療薬パイプラインを拡充しています。また、戦略的パートナーシップを通じてHumabody技術を検証するとともに、Humabody製剤の特性について、独自あるいはパートナーと共同で臨床における実証を進めています。Humabody抗体薬物複合体は、均一で部位特異的なリンカーと毒性ペイロードを用いて作製されているため、特異性が高く、標準的な抗体薬物複合体と比べて毒性プロファイルが優れています。また、分子サイズが非常に小さく、二重/多重特異性を持たせることや半減期を調節することが可能であることから、高用量で短期集中的に治療する“high dose, hit hard and leave”手法により、標準的な抗体薬物複合体よりも優れた治療指数をもたらします。さらに、Crescendo社は、設計をカスタマイズすることにより、チェックポイント阻害などの複数の機序を標的にし、免疫賦活化経路を活性化するとともに、抗原提示を促進し、免疫抑制的な腫瘍微小環境を解除するような新たな多重特異性がん免疫調節薬の研究開発も行っています。  

 

以上