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デング熱ワクチン(TAK-003)のグローバル臨床第3相試験開始について

デング熱ワクチン(TAK-003)のグローバル臨床第3相試験開始について


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September 8, 2016

-感染歴の有無を問わず4つ全てのデングウイルス血清型に対するワクチンの効果を評価する試験

当社は、このたび、当社の4価弱毒生デング熱ワクチン(TAK-003)の、二重盲検、無作為化、プラセボ対照の臨床第3相試験であるTIDES試験(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)が、最初の被験者に対するワクチン接種をもって開始されましたのでお知らせします。

 

TIDES試験には、ラテンアメリカおよびアジアのデング熱流行国に居住する4~16歳の健康な小児約2万人を組み入れる予定です。本試験では、年齢やウイルス感染歴の有無を問わず、4つのデングウイルス血清型のいずれかによる症候性デング熱に対するTAK-003の有効性評価とともに、本ワクチンの安全性および免疫原性についても評価します。本試験では、TAK-003またはプラセボを90日の間隔をあけて2回接種します。

 

世界保健機関(WHO)によると、デング熱は蚊が媒介するウイルス性疾患で最も急速に感染が拡大している感染症です。世界の人口の約4割がデングウイルスの脅威にさらされており、世界のあらゆる年齢層で年間3億9,000万人がデングウイルスに感染し、うち2万人以上の方が亡くなっています。

 

当社のGlobal Vaccine Business Unit のPresidentであるRajeev Venkayyaは、「TAK-003の臨床第3相試験の開始は極めて重要なマイルストンであり、デング熱予防というアンメットニーズを満たすワクチンをお届けするという目標に向けて前進したことになります。これは、当社のワクチンプログラムにとって大きな実績であり、重要なグローバルヘルスへの脅威に対して取り組む当社のコミットメントを示すものです。ノロウイルスワクチンの臨床第2相後期フィールド試験の開始、ビル&メリンダ・ゲイツ財団との提携によるセービン株不活化ポリオワクチン(sIPV)の開発といった最近のワクチンプログラムの進捗とともに、今回のデング熱ワクチン開発の進展は、世界中の人々を感染症の脅威から守るワクチンの研究・開発・供給に当社がいかに取り組んでいるかを示すものです」と述べています。

 

Duke-NUS Medical School、Signature Research Program in Emerging Infectious DiseaseのProfessor Emeritus and Founding DirectorであるDuane Gubler氏は、「感染症を媒介する害虫の駆除に取り組むことが重要である一方、ワクチン接種によるデング熱予防も必要とされています。理想のワクチンは、良好な安全性プロファイルを有し、デングウイルス感染歴の有無を問わず4つ全てのウイルス血清型から成人・小児を守るワクチンです」と述べています。

 

TIDES試験は、TAK-003が症候性デング熱の予防に有効かどうかを確認するため、複数の年齢層を対象に4つ全てのデングウイルス血清型に対しTAK-003の忍容性、安全性および免疫原性を評価したこれまでの試験に基づき実施されます。本試験に先立って実施された臨床第1相および第2相試験では、様々な年齢層かつ安全性に対する懸念が見られないデングウイルス血清反応陽性および陰性の被験者において、TAK-003により4つ全てのデングウイルス血清型に対する中和抗体反応が誘発されました。また、成人および小児を対象とした臨床第2相試験であるDEN-203試験の中間解析では、TAK-003は良好な安全性プロファイルおよび忍容性を示しました。また、2回接種を受けた成人は2年後も4つ全てのデングウイルス血清型に対して持続的な免疫反応を示しました。さらに、小児を対象とした臨床第2相試験であるDEN-204試験の中間解析では、TAK-003は流行地域の小児集団において良好な安全性プロファイルを示すとともに、血清反応陽性および血清反応陰性の被験者両方において4つのデングウイルス血清型に対する抗体反応が認められ、免疫反応が180日間維持されることを示しました。

 

<デング熱ワクチン(TAK-003)について>

当社の4価デング熱ワクチン(TAK-003)は、4つのワクチンウイルス型全ての遺伝子型の基礎となる弱毒化された生の2型デングウイルス(DENV-2)バックボーンをベースに構築されています。当社では、デングウイルスの感染歴の有無を問わず、小児・成人、旅行者や流行地域の住民など、あらゆる地域でデング熱の危険にさらされている方々を感染から守るために、デング熱ワクチンの開発に取り組んでいます。

 

臨床第1相試験の結果は、 Journal of Infectious DiseasesLancet Infectious Diseasesおよび Vaccineに掲載されました。プラセボ対照、多施設共同、年齢降順(age-descending)の臨床第2相試験であるDEN-203試験の中間解析結果は、2015年10月の米国熱帯医学会(American Society of Tropical Medicine and Hygiene:ASTMH)で発表され、プラセボ対照、多施設共同の臨床第2相試験であるDEN-204試験の中間解析結果は2016年5月の第5回汎米デング熱研究ネットワーク会議(Pan-American Dengue Research Network Meeting)で発表されました。

 

<当社のワクチンに対する取り組みについて>

ワクチンは、毎年200万人以上の生命を救い、公衆衛生に劇的な変化をもたらしました。当社は70年にわたり、人々の健康を守るため日本でワクチンを供給してきました。現在、当社のグローバルワクチンビジネスは、デング熱、ノロウイルスやポリオなど、世界で最も大きな課題となっている感染症に対し、最先端の取り組みを行っています。当社はワクチン開発、製造およびマーケットアクセスに関する豊富な実績と深い知識を有しており、世界で最も緊急性の高い公衆衛生ニーズに対応すべく、パイプラインの充実に努めてまいります。

以上