クローン病に伴う肛囲複雑瘻孔治療薬Cx601の臨床第3相試験ADMIRE-CD試験の24週治療成績のLancet誌掲載について

2016年8月2日

武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)とTiGenix NV(本社:ベルギー ルーヴェン、以下「TiGenix社」)は、このたび、Cx601を用いた臨床第3相試験ADMIRE-CD試験の24週時点の成績が、Lancet誌(オンライン版)に掲載されましたのでお知らせします。Cx601は、従来治療もしくは生物学的製剤による治療で効果不十分なクローン病に伴う肛囲複雑瘻孔の治療薬であり、病変内に注入する同種異系の脂肪由来幹細胞の懸濁剤です。

 

ADMIRE-CD試験は、クローン病に伴う肛囲複雑瘻孔に対するCx601の単回投与の有効性と安全性を検討するためにデザインされた、無作為化、二重盲検、プラセボ対照の臨床第3相試験です。Cx601群は、プラセボ群と比較し、主要評価項目である24週時点の複合寛解(ベースラインにおいて排膿中で、かつ本剤を投与された全ての二次口が指押しにも関わらず完全閉鎖し、さらにMRIで2cm超の膿瘍が確認されない状態と定義)の達成率が、統計学的に有意に優れていました。ITT解析対象集団において、Cx601群で107例中53例(50%)に対して、プラセボ群で105例中36例(34%)(97.5%信頼区間[0.2-30.3]、p=0.024)、mITT解析対象集団においては、Cx601群で103例中53例(51%)に対して、プラセボ群で101例中36例(36%)でした(97.5%信頼区間[0.5-31.2]、p=0.021)。これらの結果は、per-protocol解析対象集団でも確認され、その他の追加解析や感度分析においても示されました。この寛解の定義は、臨床評価とMRIによる放射線医学的評価の両方が含まれている点で、肛囲瘻孔における臨床試験で一般的に用いられる定義よりも厳格なものとなっています。治療下で発現した(非重篤および重篤な)有害事象と、有害事象による中止は、Cx601群とプラセボ群において同様でした。

 

また、クローン病に伴う肛囲疾患の重症度について、ベース時点および全ての来院時に肛門病変活動性指標(Perianal Disease Activity Index : PDAI)による評価を行っています。mITT解析集団におけるPDAIスコアは、ベースライン時点ではCx601群とプラセボ群で同様でしたが、6週、12週、18週時点におけるPDAIスコアは、プラセボ群と比較し、Cx601群において有意な改善を示していました。また、Cx601群における24週時点の全PDAIスコアの平均値(4.4)は、薬物治療や外科的治療を必要としない非活動性肛門病変の閾値(PDAI<4)に近い値でした。

 

クローン病は慢性かつ炎症性の消化管疾患であり、世界で約500万人が罹患しています。クローン病の患者さんには、しばしば肛囲複雑瘻孔が伴いますが、その治療オプションは限られています。肛囲複雑瘻孔は、予後不良で治療オプションが十分ではない疾患として知られており、2009年、クローン病に伴う肛囲複雑瘻孔治療薬としてCx601が欧州委員会よりオーファン指定を受けました。2016年3月、TiGenix社は、欧州医薬品庁(EMA)にCx601の販売許可申請を行ったことを公表しました。また、TiGenix社は最近、Cx601の単回投与の有効性・安全性を示す52週時のデータも公表しており、1年間のフォローアップ期間中、効果が維持されていたことが報告されています。

 

国際共同治験であるADMIRE-CD試験のコーディネーターであり、Hospital Clínic of Barcelona のInflammatory Bowel Diseases UnitのHeadであるJulián Panés医師は、「本試験の結果を、大変喜ばしく思います。Lancet誌は、世界で最も評価が高く、著名な医学雑誌の一つであり、このたび、このような一流誌に掲載されたことを大変嬉しく思います」と述べています。

 

TiGenix社のChief Medical OfficerであるMarie Paule Richardは、「本試験は、我々の知る限り、欧州クローン病・大腸炎会議(のガイドライン)で推奨されている通り、瘻孔の閉鎖の臨床評価および膿瘍の消失についてのMRI評価を用いた、初めての大規模、無作為化、プラセボ対照の臨床試験です」と述べています。

 

先月、TiGenix社は、消化器系疾患領域のグローバルリーダーである武田薬品とライセンス契約を締結しており、本契約に基づき、武田薬品は米国外におけるクローン病に伴う肛囲複雑瘻孔の治療薬Cx601の独占的開発・販売権を獲得しています。欧州における本臨床第3相試験の結果に基づき、TiGenix社は2016年第1四半期にEMAに販売許可申請を行っており、2017年内にEMAの結論が出るものと見込んでいます。欧州においてCx601の販売許可を取得した場合、武田薬品が販売許可取得者となり、販売および当局対応を行います。

 

米国でのCx601の肛囲複雑瘻孔に対する主要な臨床第3相試験は、2017年に開始予定です。米国において、TiGenix社は米国食品医薬品局(FDA)のファスト・トラックの指定を申請する予定であり、指定されれば米国における開発スピードやレビュープロセスが円滑になり、加速する可能性があります。

 

<Cx601について>

Cx601は、病変内に注入する同種異系の脂肪由来幹細胞の懸濁剤です。本薬は、抗生物質、免疫抑制剤、または抗TNFα抗体製剤を含む標準治療で効果不十分なクローン病に伴う肛囲複雑瘻孔の治療薬として開発されています。クローン病は慢性かつ炎症性の腸疾患であり、現在有効な治療が存在しない肛囲複雑瘻孔を併発する可能性を有しています。肛囲複雑瘻孔は、予後不良であり、治療選択肢が十分ではない疾患として知られており、2009年、肛門瘻孔治療薬としてCx601が欧州委員会よりオーファン指定を受けました。TiGenix社は、臨床第2相試験の良好な結果に基づき、本薬の開発計画について欧州医薬品庁(EMA)に科学的アドバイスを求めました。その後、TiGenix社は、EMAの要求に沿ってデザインされた、無作為化、二重盲検、プラセボ対照の臨床第3相試験を欧州とイスラエルで開始しました。ハイテクノロジーイノベーションを通じて企業の成長を支援するマドリード自治区にある組織「マドリード・ネットワーク」は、本試験への資金援助として低金利の融資を実施しました。本試験は、INNTEGRAプランの枠組みでSecretary of State for Research, Development and Innovation(Ministry of Economy and Competitiveness)による資金援助の対象となっています。本試験の主要評価項目は、24週時点で、ベースラインにおいて排膿中で、かつ本剤を投与されたすべての二次口が指押しにも関わらず完全閉鎖し、さらにMRIで2 cm超の膿瘍が確認されない状態と定義とされた複合寛解でした。2015年の8月に報告された臨床第3相試験の24週時点の結果によると、本試験では、ITT解析集団において、Cx601群は、24週時点の複合寛解が49.5%であり、プラセボ群の34.3%と比べて統計学的に有意であり、主要評価項目を達成しました。この結果から、相対リスクは1.44、つまりCx601群はプラセボ群よりも複合寛解を達成する確率が44%高いということがわかります。有効性は全ての解析対象集団で安定しており一貫性のある結果が得られました。治療下で発現した(非重篤および重篤な)有害事象と有害事象による投薬中止は、Cx601群とプラセボ群で同様でした。本試験では、治療後52週時点のフォローアップ解析も終了しています。良好な24週の臨床第3相試験結果に基づき、TiGenix社は、2016年の初めにEMAに販売許可申請を行いました。TiGenix社は、2015年にTiGenix社が提案した試験プロトコールに関する手続きである臨床試験計画評価(Special Protocol Assessment: SPA)を通じてFDAと合意に達し、米国でのCx601の開発に向けて準備を進めています。2016年7月4日(米国時間)、TiGenix社は、消化器系疾患領域のグローバルリーダーである武田薬品とライセンス契約を締結しており、本契約に基づき、武田薬品はクローン病に伴う肛囲複雑瘻孔の治療薬Cx601の米国外における独占的開発・販売権を獲得しています。

以上