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米国における大うつ病治療剤Brintellix®のTrintellixへの製品名変更について

米国における大うつ病治療剤Brintellix®のTrintellixへの製品名変更について


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May 6, 2016

武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)の100%子会社である武田ファーマシューティカルズUSA Inc.(所在地:米国イリノイ州ディアフィールド、以下「TPUSA社」)とH. Lundbeck A/S(本社:デンマーク、コペンハーゲン、以下「Lundbeck社」)は、米国で販売している大うつ病治療剤Brintellix®(一般名:ボルチオキセチン臭化水素酸塩、以下「Brintellix」)について、本年6月より製品名をTrintellixに変更して販売いたしますのでお知らせします。本剤の剤形、効能・効果、用法・用量に変更はありません。

 

今回の製品名変更は、Brintellixと抗血液凝固剤Brilinta®(一般名:ticagrelor)との製品名混同が報告されたことに基づくものです。TPUSA社とLundbeck社は、米国食品医薬品局(FDA)とも協議の上、患者さんや医療関係者の方々による今後の製品名混同を最小限にするには製品名変更が最善の方法であると判断し、変更を決定しました。

 

武田薬品のGlobal Regulatory AffairsのVice PresidentであるThomas Harrisは、Brintellixという製品名については、発売前に十分な調査が行われたものの、BrintellixとBrilintaの製品名混同の報告を受けた後、両社は速やかに医療関係者や薬剤師の方々に注意喚起してまいりました。両社はその後、製品名を変更することで今後の取り違えリスクを最小限にできると考え、FDAとの協議を経て、製品名変更を決定いたしました」と述べています。

 

Lundbeck社の米国 Regulatory AffairsのVice PresidentであるGregg Prattは、「当社はTPUSA社と協力し、医療関係者の方々や患者さんに対し、製品名に変更はあっても製品自体に変わりはないことをお伝えしていきます。製品名変更後も本剤は同じ成分、用法・用量であり、期待される効果も変わりありません」と述べています。

 

武田薬品のUS Business UnitのプレジデントであるRamona Sequeiraは、「両社にとって患者さんの安全は最優先事項であり、当社はLundbeck社と協力し、周知徹底活動を開始するとともに、患者さん、医療関係者・薬剤師の方々に本剤を滞りなくお届けしてまいります。当社は、このような活動を行うことにより、患者さん、信頼、評価に関わる当社事業の確立という目標実現に繋がっていくものと考えています」と述べています。

 

本年6月より製品名がTrintellixに変更となりますが、今夏の製品名変更の移行期間においても、現在のBrintellixの製品名で医師の方々は本剤を処方できるとともに患者さんも本剤の処方を受けることができます。また、Trintellix錠には、製品名変更前と同じ刻印が施される予定です。製品名変更に伴い、Trintellixには新たな薬剤認識番号(National Drug Code:NDC)が付与されます。

 

Brintellix/Trintellixや他の医薬品に関する取り違えについては、インターネットのFDA MedWatchプログラム(www.fda.gov/medwatch)にて報告されています。

 

<Brintellixについて>

Brintellixは、神経伝達物質セロトニン(5-HT)の再取り込み阻害作用、また、5-HT1A受容体刺激作用、5-HT1B受容体の部分的刺激作用、5-HT3、5-HT1D、5-HT7受容体拮抗作用など、複数のセロトニン受容体での作用を有すると考えられています。Brintellixは、これらの薬力学的作用を併せ持つ初めてかつ唯一の薬剤です。

 

BrintellixはLundbeck社が創製し、米国における臨床試験はLundbeck社と武田薬品が共同で行い、米国市場における新薬承認申請(NDA)は武田薬品が行いました。BrintellixはLundbeck 社の登録商標であり、武田薬品が使用許諾を得て使用しています。

 

世界保健機関(WHO)は、Anatomical Therapeutic Chemical(ATC:解剖治療化学分類)において、Brintellixを「その他」の抗うつ薬というクラスに分類しました。

 

6~8週間のプラセボを対照とした試験において、Brintellix投与時に最も多く発現した有害事象(発現率≧5%かつプラセボ投与群の少なくとも2倍の発現率)は吐き気、便秘、嘔吐でした。短期投与試験全体において、Brintellix 5~20mg/日を投与した患者さんの5~8%が、プラセボ投与群においては4%が副作用により治療を中止しており、最も多い副作用は吐き気でした。

 

6~8週のプラセボを対照とする臨床試験において、Brintellix投与群では投与開始前からの平均体重変化量に有意な影響は認められませんでした。また、12週間のBrintellix投与にて効果の認められた患者さんを対象とした、24週間のプラセボ対照・二重盲検・長期維持試験において、プラセボ投与群とBrintellix投与群の体重変化量に差はありませんでした。なお、プラセボ対照試験において、Brintellix投与群の患者さんの収縮期血圧及び拡張期血圧ならびに心拍数等のバイタルサインについても、影響は認められませんでした。

 

<承認用量>

Brintellix 5 mg錠、10 mg錠、20 mg錠(食事の摂取に関わらず服用可能)

Brintellixの承認用法・用量は5~20 mg 1日1回、推奨服薬開始用量は1日10 mgであり、米国における臨床試験の結果において、高用量投与時により高い治療効果が示されたことから、患者さんの忍容性に応じて1日20mgまで増量します。高用量投与に忍容性のない患者さんは、5mg/日まで減量することも検討されます。幅広い用量設定により、多様な患者さんのニーズに対応可能です。

以上