アログリプチンの心血管系への安全性を評価したEXAMINE試験の事後解析データの Lancet誌掲載について

2015年3月10日

当社は、本日、アログリプチン(一般名)の心血管系への安全性を評価したグローバル試験であるEXAMINE試験1の事後解析データが医学雑誌「The Lancet(以下、Lancet誌)」に掲載されましたのでお知らせします1,2。この試験のデータ解析から、急性冠症候群(ACS)を発症した2型糖尿病の患者群において、ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)阻害薬であるアログリプチン投与群では、プラセボ投与群と比較して、心不全の発症リスクを上昇させないことが示されました1。事後解析の探索的な複合エンドポイントである心血管イベントによる死亡および入院を要する心不全について、アログリプチン投与群(201例、7.4%)はプラセボ投与群(201例、7.5%)と比較し、差は認められませんでした[Hazard Ratio (HR)=1.00、95%信頼区間0.82~1.21]。無作為割付け時点で心不全の既往歴を有する患者は、EXAMINE試験において心不全関連事象発症の高リスク群でしたが、心血管イベントによる死亡および入院を要する心不全を複合エンドポイントとしたサブ解析において、アログリプチン投与群(107例、13.9%)は、プラセボ投与群(120例、15.7%)と比較しリスクは上昇しませんでした[Hazard Ratio (HR)=0.90、95%信頼区間0.70~1.17]。登録時に心不全の既往歴のない患者群においても、複合エンドポイントである心血管イベントによる死亡および入院を要する心不全について、プラセボ投与群と比較しアログリプチン投与群でリスクは上昇しませんでした[Hazard Ratio (HR)=1.14、95%信頼区間0.85~1.54, p=0.337]が、本サブグループ群では、プラセボ投与群と比較してアログリプチン投与群において入院を要する心不全の発症がわずかに増加しました(0.9%)。

1EXamination of CArdiovascular OutcoMes: AlogliptIN vs. Standard of CarE in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus and Acute Coronary Syndrome

アログリプチンは、直近にACSを発症した心血管イベントハイリスクの2型糖尿病患者における心血管系に関する安全性についてのアウトカムが報告された初めてのDPP-4阻害薬です2。心臓病や心血管疾患は2型糖尿病患者における罹患率が高く、死亡の主要な原因となっており3、糖尿病患者さんの死因の50%~80%を占めています4

フランスにあるCentre d’Investigation Clinique InsermのInstitut Lorrain du Coeur et des Vaisseaux Therapeutics and Cardiologyの教授であるFaiez Zannad, M.D.は、「糖尿病の患者さんは、心疾患や脳卒中を起こすリスクが非常に高いため、糖尿病治療では、心不全による入院や心臓死などの心血管イベントの発症に悪影響を及ぼすことなく、血糖値を適切に管理することが重要です。EXAMINE試験の事後解析結果が公表されたことで、心血管イベントハイリスクの糖尿病患者さんにおいて、アログリプチン投与群がプラセボ投与群と比較して、心血管イベントによる死亡率と心不全による入院率を増やさないという重要な知見を得ることができました」と述べています。

EXAMINE試験は、直近にACSを発症した2型糖尿病の患者さんを対象に、心血管系に対する安全性について、標準治療に加えてアログリプチンを投与した群と、プラセボを投与した群とで比較しました2。EXAMINE試験の主要複合エンドポイント(心血管死、非致死性心筋梗塞および非致死性脳卒中)については、標準治療に加えてアログリプチンを投与した群と、プラセボを投与した群との間で非劣性が証明され、心血管イベントハイリスク2型糖尿病患者さんにおいて、心血管イベントリスクを上昇させないことが示されました。

Lancet誌に掲載された今回の結果では、ベースラインでの脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値の四分位による心不全に関するアウトカム、ならびに、N末端pro-BNP(NT-proBNP)値のベースラインに対する6ヵ月目の変化の評価が検討されました1。BNPベースラインの上位四分の1位の患者さんは心不全のリスクが最も高い患者群ですが、心血管イベントによる死亡および入院を要する心不全の複合エンドポイントのリスクは、プラセボ投与群(121例、19.4%)と比較し、アログリプチン投与群(120例、17.5%)において増加は認められませんでした[Hazard Ratio (HR)=0.90、95%信頼区間0.70~1.16]。NT-proBNPのベースラインに対する6ヶ月目の変化は、サブグループおよび全体解析において、アログリプチン投与群とプラセボ投与群間で差は認められませんでした。

 

<EXAMINE試験について>

EXAMINE試験は、49カ国において、15~90日以内にACSを発症した2型糖尿病の患者さん5,380例を無作為に割り付けて実施された試験です3。心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中から成る主要複合エンドポイントについて、心血管イベント発症リスクが高い2型糖尿病の患者さんで、心血管イベント発症リスクの上昇は認められず、標準治療に加えてプラセボを投与した群に対する非劣性を検証する本試験の主要エンドポイントは達成されました。主要エンドポイントの発現率は、アログリプチン投与群とプラセボ投与群とで同程度でした[追跡調査期間中央値18ヵ月において11.3% vs 11.8%、HR=0.96、片側信頼区間1.16]。

 

アログリプチン投与群では、患者さんの71.4%に25mg、25.7%に12.5mg、2.9%に6.25mgが1日1回投与されています2。アログリプチンの用量は、腎機能に応じて調整しており、MDRD(Modification of Diet in Renal Disease)式により算出した推算糸球体濾過量(eGFR)が≥ 60 ml/min/1.73 m2の場合25mg、< 60 ml/min/1.73 m2かつ≥ 30 ml/min/1.73 m2の場合12.5mg、<30 ml/min/1.73 m2の場合6.25mgを1日1回投与しています。投与中止例の割合は、アログリプチン投与群とプラセボ投与群とで同程度であり(20.9% vs 22.6%)、治験薬投与期間の中央値は553日(四分位範囲280~751日)でした。試験終了までにおけるHbA1cのベースラインからの変化量の平均値はアログリプチン投与群で-0.33%、プラセボ投与群で0.03%であり、アログリプチン投与群とプラセボ投与群とのHbA1cの差異の最小二乗平均は-0.36%(95%信頼区間-0.43~-0.28、p<0.001)でした。主要エンドポイントの各要素を解析したところ、ハザード比は全体の結果と同程度でした。また、あらゆる要因や心血管イベントによる死亡のハザード比は、主要複合エンドポイントと同程度でした。

 

当社は、米国食品医薬品局(FDA)がすべての新規2型糖尿病治療薬に関して2008年に発行した「新規2型糖尿病治療薬の心血管系リスク評価についてのガイダンス」に沿って、グローバルでEXAMINE試験を実施しています5

 

<アログリプチンについて>

アログリプチンは、ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)阻害薬であり、食事療法・運動療法で効果不十分な成人2型糖尿病の治療薬です。本薬剤は、インクレチンホルモンであるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)とグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)の不活化を遅延させることにより、インスリンの分泌を血糖値に応じて高め、血糖値をコントロールします。

 アログリプチンは、オーストラリア、中国、欧州、日本、メキシコ、韓国、米国など、様々な国で販売されています。

1 Takeda Data on File, 2014. http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(14)62225-X/abstract

2 White, W.B. et al. (2013) Alogliptin after Acute Coronary Syndrome in Patients with Type 2 Diabetes. The New England Journal of Medicine. [online] nejm.org. Last accessed December 17, 2014, available at:

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1305889.

3 International Diabetes Federation (IDF). Diabetes Atlas, 6th Ed. Complications of Diabetes. Available at: http://www.idf.org/diabetesatlas Last accessed December 17, 2014. Page 24, Paragraph 1.

4 World Health Organization. Ten facts about diabetes. Available at: http://www.who.int/features/factfiles/diabetes/en/  (Hot link: read the 10 facts on diabetes). Last accessed December 17, 2014.

5Food and Drug Administration (FDA). Guidance for Industry: Diabetes Mellitus – Evaluating Cardiovascular Risk in New Antidiabetic Therapies to Treat Type 2 Diabetes 2008. Last accessed December 17, 2014.

http://www.fda.gov/downloads/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Guidances/ucm071627.pdf