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多発性骨髄腫治療剤ベルケイドの未治療のマントル細胞リンパ腫に関する米国での追加承認取得について

多発性骨髄腫治療剤ベルケイドの未治療のマントル細胞リンパ腫に関する米国での追加承認取得について


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October 10, 2014

当社と当社の100%子会社であるミレニアム・ファーマシューティカルズ Inc.(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)は、このたび、多発性骨髄腫治療剤ベルケイド(一般名:ボルテゾミブ)について、米国食品医薬品局(FDA)より、未治療のマントル細胞リンパ腫患者の治療薬として、追加承認を取得しましたのでお知らせします。ベルケイドは、2006年に再発・難治性のマントル細胞リンパ腫患者の治療薬として承認されていますが、今回の承認により、米国において初めて、未治療のマントル細胞リンパ腫患者の治療薬として承認されたことになり、本剤の使用範囲はさらに広がります。

今回の承認取得は、未治療のマントル細胞リンパ腫を対象として国際共同無作為化臨床第3相比較試験結果に基づいており、40ヶ月(中央値)の追跡期間において、ベルケイドを含む治療レジメン(VcR-CAP:ベルケイド、リツキシマブ、シクロフォスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン)の患者群では、標準治療レジメン(R-CHOP:リツキシマブ、シクロフォスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン)の患者群と比較して、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)が59%延長したことが示されました(中央値25ヶ月 vs 14ヶ月、ハザード比0.63、P < 0.001)。有効性に関する主要評価項目であるPFSは、独立評価委員会(IRC)にて評価されました。完全寛解率(CR)は、VcR-CAP群44%に対し、R-CHOP群34%でした。

米国Tufts Cancer CenterのHematology/Oncology部門リンパ種プログラムChiefのAndrew Evens医師は、「マントル細胞リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫の中でも臨床的に悪性度の高いサブタイプの一つで、再発のリスクが比較的高い難治性の疾患です。再発・難治性のマントル細胞リンパ腫に対してFDAより承認を受けた新規分子標的治療薬はいくつかありますが、これまで未治療のマントル細胞リンパ腫に対して承認された新規分子標的治療薬はありませんでした。ベルケイドを含む治療レジメン(VcR-CAP)を受けた患者さんでは予後の改善が認められており、これは新たにマントル細胞リンパ腫と診断された患者の治療における重要な前進です」と述べています。

当社Oncology Clinical Research Vice PresidentのDixie-Lee Esseltineは、「ベルケイドが未治療のマントル細胞リンパ腫の治療薬として承認され、嬉しく思います。ベルケイドを含む治療レジメンでは、標準治療レジメンと比較し、無増悪生存期間において、中央値で11ヶ月の有意な改善を示しました。ベルケイドは2006年の再発・難治性のマントル細胞リンパ腫への追加承認以来、再発・難治性のマントル細胞リンパ腫の患者さんにとって重要な治療薬でしたが、今回の追加承認取得により、全てのマントル細胞リンパ腫の患者さんの初回治療において使用いただけることになります」と述べています。

 

<未治療のマントル細胞リンパ腫を対象とした臨床第3相試験結果>

試験法

オープンラベル、多施設、プロスペクティブ試験

対象患者

・骨髄移植非適応、あるいは非適応と思われる未治療のマントル細胞リンパ腫患者487名

・標準治療レジメン(R-CHOP:リツキシマブ、シクロフォスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン)群とベルケイドを含む治療レジメン(VcR-CAP:ベルケイド、リツキシマブ、シクロフォスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン)群を比較

投与方法

静注
・ベルケイド(1.3mg/m2)をリツキシマブ、シクロフォスファミド、ドキソルビシンの静注および経口のプレドニゾンと併用投与し、3週間の治療サイクルを6回実施(ベルケイドは最初に投与し、次いでリツキシマブを投与)

・ベルケイドは、1週間に2回、2週間投与し(第1、4、8、11日)、第12~21日の10日間は休薬期間

・6サイクル目で初めて効果が見られた場合は、VcR-CAPの2回追加を推奨(ベルケイドは最低72時間空けて投与する)

主要評価項目

無増悪生存期間(PFS)※独立評価委員会(IRC)で評価

安全性

・ベルケイドを含む治療レジメン(VcR-CAP)において最も多く認められた有害事象(≥20%)は、好中球減少、白血球減少、貧血、血小板減少、リンパ球減少、末梢性神経障害、発熱、悪心、下痢

・感染症は、VcR-CAP群で31%に対し、R-CHOP群で23%、そのうち肺炎はVcR-CAP群で8%に対し、R-CHOP群で5%

・投与中止に至った有害事象は、VcR-CAP群で8%に対し、R-CHOP群では6%で、そのうちVcR-CAP群で最も多く報告された有害事象は末梢性感覚神経障害(1%、3例)

 

<マントル細胞リンパ腫について>

マントル細胞リンパ腫は、通常、高齢者に発症するB細胞性非ホジキンリンパ腫のうち、悪性度が高いもので、まれな疾患です(非ホジキンリンパ腫患者の約6%)。本疾患は特徴としてリンパ節で発症しますが、骨髄や肝臓など、他の組織に広がる場合もあります。マントル細胞リンパ腫患者の全生存期間はおよそ4~5年であり、進行期のマントル細胞リンパ腫患者の5年生存率はおよそ50%です。

 

以上