第29回国際神経精神薬理学会(CINP)における大うつ病治療薬Brintellix®(一般名:vortioxetine)の臨床試験結果の発表について

2014年6月17日

武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)とH. Lundbeck A/S(本社:デンマーク、コペンハーゲン、以下「Lundbeck社」)は、本日、Brintellix 10~20 mg/日が認知機能に与える影響について、実行機能、処理速度、注意に関連する客観的神経心理検査(Digit Symbol Substitution Test[DSST])を用いて、成人の大うつ病性障害の患者を対象に評価した新たな試験(「CONNECT」試験)の結果を、6月23日よりカナダのバンクーバーで開催される第29回国際神経精神薬理学会(CINP)において、Late Breakerポスターとして発表しますのでお知らせします。

本試験では、モンゴメリー・アズバーグうつ病評価スケール(Montgomery-Asberg Depression Rating Scale[MADRS])合計スコア26以上で自己評価による認知機能障害を有する成人の大うつ病性障害の患者を、Brintellix 10~20 mg/日投与群(n=198)、プラセボ投与群(n=194)、うつ病に対する分析感度を確認するための参照薬投与群(duloxetine 60 mg/日、n=210)に無作為に割り付けました。主要評価項目は投与8週時点のDSSTのベースラインからの変化量としました(共分散解析による)。重要な副次評価項目である投与8週時点の自己評価式Perceived Deficits Questionnaire(PDQ)の注意/集中力および計画/企画のサブスコアおよび臨床的全般印象-改善度(Clinical Global Impressions – Global Improvement Scale[CGI-I])については、最大解析対象集団(FAS)および混合効果モデル反復測定法(MMRM)により、あらかじめ規定した順序(pre-specified testing sequence)で分析しました。さらに、うつ病の全般的症状に対する有効性を確認するためにMADRS合計スコア、認知に対する直接的および間接的な治療効果を検出するためにあらかじめ規定したパス解析を評価項目に加えました。

主要評価項目である投与8週時点のDSSTのベースラインからの変化量(P < 0.05)、および2つの重要な副次評価項目であるPDQ(P < 0.01)およびCGI-I(P < 0.05)に関して、Brintellix投与群はプラセボ投与群に比して統計学的に有意に優れた結果が示されました。また、投与8週時点のMADRS合計スコアのベースラインからの変化量に関して、Brintellix投与群はプラセボ投与群に比して、統計学的に有意に優れた結果が示されました(P < 0.05)。本試験において、認知機能に対する直接的および間接的な治療効果を検出するためにあらかじめ規定したパス解析を行った結果、認知機能に対するBrintellixの効果は、全般的な抑うつ症状の軽減によるものではなく、主に直接的な治療効果によるものであることが示されました。本試験における、うつ病に対する治療効果の指標は、参照薬であるduloxetine投与群が、投与8週時点のMADRS合計スコアのベースラインからの変化量に関して、プラセボ投与群と比して統計学的に有意な差が認められたことから、感度が十分であったと確認されました。なお、本試験のBrintellix投与群における主な有害事象(発現率5%超)は吐き気、頭痛および下痢でした。

Rush大学Medical Centerの精神医学科准教授であり、治験責任医師であるJohn Zajecka医学博士は、「大うつ病で多くみられる認知機能に関する症状として、思考力、集中力、決断力の低下などがみられており、これらの症状についてはさらなる研究が必要とされています。今回発表されたBrintellixの大うつ病性障害の患者さんの認知機能に関する試験結果では、過去の臨床試験結果と同様の傾向が見られるという心強い結果が得られました」と述べています。

以上

【Late Breakerとして発表されたBrintellixの臨床試験データ】

目的

成人の大うつ病性障害の患者を対象にBrintellix 10~20 mg/日が認知機能に与える影響について、実行機能、処理速度、注意に関連する客観的神経心理検査(Digit Symbol Substitution Test[DSST])を用いて評価

試験デザイン

無作為化、二重盲検、プラセボ対照、実薬参照、可変用量、並行群間比較

対照薬

プラセボ

参照薬

duloxetine 60mg/日

対象患者

MADRS合計スコアが26以上で自己評価による認知機能障害を有する成人の大うつ病性障害の患者

患者数

Brintellix 10~20 mg/日投与群(n=198)、プラセボ投与群(n=194)、参照薬投与群(duloxetine 60 mg/日、n=210)に無作為割付

試験期間

13週間

主要評価項目

投与8週時点のDSSTのベースラインからの変化量(共分散解析による)

主要評価項目の結果

投与8週時点のDSSTのベースラインからの変化量(P < 0.05)関して、プラセボに対するBrintellixの統計学的な優越性が示された。 (本試験において、認知機能に対する直接的および間接的な治療効果を検出するためにあらかじめ規定したパス解析を行った結果、認知能力に対するBrintellixの効果は、全般的な抑うつ症状の軽減によるものではなく、主に直接的な治療効果によるものであることが示された。本試験における、うつ病に対する効果の指標は、参照薬であるduloxetineが、投与8週時点のMADRS合計スコアのベースラインからの変化量に関して、プラセボと統計学的に有意な差が認められたことから、感度が十分であると確認された)

重要な副次評価項目

・  自己評価式Perceived Deficits Questionnaire(PDQ)の注意/集中力および計画/企画のサブスコア

・  Clinical Global Impressions – Global Improvement Scale(CGI-I)

(混合効果モデル反復測定法(MMRM)により、最大の解析対象集団(FAS)を用いて、あらかじめ規定した検査順序で分析)

重要な副次評価項目の結果

PDQ(P < 0.01)およびCGI-I(P < 0.05)に関して、プラセボに対するBrintellixの統計学的な優越性が示された

その他の副次評価項目

うつ病の全般的症状に対する有効性(MADRS合計スコア)  

その他の副次評価項目の結果

投与8週時点のMADRS合計スコアのベースラインからの変化量に関して、プラセボに対してBrintellixの統計学的な優越性が示された(P < 0.05)

主な有害事象

本試験のBrintellix投与群における主な有害事象(発現率5%超):吐き気、頭痛および下痢

 

Brintellix(ボルチオキセチン臭化水素酸塩)について>

Brintellixは、神経伝達物質セロトニン(5-HT)の再取り込み阻害作用、また、5-HT1A受容体刺激作用、5-HT1B受容体の部分的刺激作用、5-HT3、5-HT1D、5HT7受容体拮抗作用など、複数のセロトニン受容体での作用を有すると考えられています。Brintellixは、これらの薬力学的作用を併せ持つ初めてかつ唯一の薬剤です。

BrintellixはLundbeck社が創製し、米国における臨床試験はLundbeck社と武田薬品が共同で行い、米国市場における新薬承認申請(NDA)は武田薬品が行いました。BrintellixはLundbeck 社の登録商標であり、武田薬品が使用許諾を得て使用しています。

世界保健機関(WHO)は、Anatomical Therapeutic Chemical(ATC:解剖治療化学分類)において、Brintellixを「その他」の抗うつ薬というクラスに分類しました。

6~8週間のプラセボを対照とした試験において、Brintellix投与時に最も多く発現した有害事象(発現率≧5%かつプラセボ投与群の少なくとも2倍の発現率)は吐き気、便秘、嘔吐でした。短期投与試験全体において、Brintellix 5~20mg/日を投与した患者さんの5~8%が、プラセボ投与群においては4%が副作用により治療を中止しており、最も多い副作用は吐き気でした。

6~8週のプラセボを対照とする臨床試験において、Brintellix投与群では投与開始前からの平均体重変化量に有意な影響は認められませんでした。また、12週間のBrintellix投与にて効果の認められた患者さんを対象とした、24週間のプラセボ対照・二重盲検・長期維持試験において、プラセボ投与群とBrintellix投与群の体重変化量に差はありませんでした。なお、プラセボ対照試験において、Brintellix投与群の患者さんの収縮期血圧及び拡張期血圧ならびに心拍数等のバイタルサインについても、影響は認められませんでした。

 

<承認用量>

Brintellix 5mg錠、10mg錠、20mg錠(食事の摂取に関わらず服用可能)

Brintellixの承認用法・用量は5~20 mg 1日1回、推奨服薬開始用量は1日10 mgであり、米国における臨床試験の結果から、高用量投与時により高い治療効果が示されたことから、患者さんの忍容性に応じて1日20mgまで増量することが可能です。高用量投与に忍容性のない患者さんは、5mg/日まで減量することが推奨されます。幅広い用量設定により、多様な患者さんのニーズに対応可能です。