第63回米国心臓病学会における、アログリプチンの心血管系への
安全性を評価したEXAMINE試験の追加データ発表について

2014年3月28日

当社は、米国ワシントンDCで開催される第63回米国心臓病学会(American College of Cardiology:ACC)のポスターセッションおいて、2型糖尿病治療剤アログリプチン(一般名)の心血管への安全性を評価したグローバルなEXAMINE試験1のサブ解析データを発表しますのでお知らせします。本サブ解析では、ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)阻害薬であるアログリプチンの、心血管イベントによる死亡率および心不全による入院率に及ぼす影響について検証されています。

1  EXamination of CArdiovascular OutcoMes: AlogliptIN vs. Standard of CarE in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus and Acute Coronary Syndrome

アログリプチンは、直近に急性冠症候群(ACS)を発症した2型糖尿病患者さんにおける心血管系への安全性が評価された最初のかつ唯一のDPP-4阻害薬です。心血管系疾患は、2型糖尿病患者さんにおける主要な死亡原因となっており、糖尿病患者さんの死因のうち、50%~80%を占めています。

今回のサブ解析2の結果では、EXAMINE試験における心血管イベントによる死亡率は、アログリプチン投与群で4.1%(112例)、プラセボ投与群で4.9%(130例)と、両群間で差は認められませんでした[Hazard Ratio (HR)=0.85、95%信頼区間:0.66-1.10]。心突然死の発生率においても、アログリプチン投与群で2.2%(59例)、プラセボ投与群で2.7%(73例)と、両群間で差は認められませんでした[HR=0.80、95%信頼区間:0.57-1.12]。

2  Cardiovascular mortality in patients with type 2 diabetes and recent acute coronary syndrome from the EXAMINE Trial

EXAMINE試験における別のサブ解析3では、事前に規定した心血管イベントの複合エンドポイントである、全死亡、非致死性心筋梗塞および非致死性脳卒中、不安定狭心症による緊急冠血管再開通術、心不全による入院のいずれかが最初に発生するまでの期間において、アログリプチン投与群とプラセボ投与群の両群間で差は認められませんでした[HR=0.98、95%信頼区間:0.86-1.12]。この複合エンドポイントのうち、心不全による入院の発生率は、アログリプチン投与群では3.1%であり、プラセボ投与群では2.9%でした[HR=1.07、95%信頼区間:0.79-1.46]。さらに、心不全の既往がある患者さんもしくはNT-pro-BNP値で心不全と診断されている患者さんにおいても、アログリプチン投与によって新たな心不全を誘発することはなく、心不全を悪化させることもありませんでした。

3  Alogliptin in patients with type 2 diabetes after acute coronary syndromes: Heart failure outcomes and cardiovascular safety in heart failure patients

EXAMINE試験の治験責任医師および抄録の著者のWilliam B. White博士は、「2型糖尿病患者さんは心血管イベントを起こしやすいため、糖尿病治療では、心不全による入院や心臓死などの心血管イベントの発症に悪影響を及ぼすことなく、血糖値を適切に管理することが重要です。今回のサブ解析結果で、心血管イベント発症リスクの高い2型糖尿病患者さんにおいて、アログリプチン投与群とプラセボ投与群において心血管イベントによる死亡率および心不全による入院率に差がないことが示されました」と述べています。

当社 Global Medical Affairs Vice PresidentのAjay Ahuja, M.D.は、「当社は引き続き、主要な治験医師と連携し、EXAMINE試験から得られた知見を解析し、発表してまいります。今回のサブ解析の結果は、心血管イベントハイリスクの患者さんにアログリプチンを投与する上での極めて重要な情報となります」と述べています。

以上

EXAMINE試験について

EXAMINE試験は、急性冠症候群(ACS)を発症した4、主要心血管イベント(MACE)の発症リスクが高い2型糖尿病患者さんを対象に49ヵ国で実施された、アログリプチンの心血管系への安全性を評価した試験です。本試験は、心血管疾患の発症リスクが高い患者群における、グローバル、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験であり、心血管系に対する安全性について、標準治療に加えてアログリプチンを投与した群と、プラセボを投与した群とで比較しました。本試験の主要評価項目は、アログリプチン投与群における心血管イベントによる死亡、非致死性心筋梗塞、及び非致死性脳卒中の複合エンドポイントであり、アログリプチン投与群のプラセボ投与群に対する非劣性を検証したものです。

4 無作為化前15~90日の間

当社は、米国食品医薬品局(FDA)が2008年に発行した「新規2型糖尿病治療薬の心血管系リスク評価についてのガイダンス」5に沿ってEXAMINE試験を実施しました。

5 Guidance for Industry: Diabetes Mellitus – Evaluating Cardiovascular Risk in New Antidiabetic Therapies to Treat Type 2 Diabetes

 

<試験結果概要

患者数

・5,380名

投与期間

・中央値:18ヶ月(533日)、最長:40ヶ月 (四分位範囲:280-751日)

主要評価項目

・心血管イベントによる死亡、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中のイベント発生率

アログリプチン投与群:11.3%、プラセボ投与群:11.8%(HR:0.96、片側信頼区間1.16)

最重要副次

評価項目

・主要評価項目のイベントに入院後24時間以内に冠血管再開通術を要した不安定狭心症を加えたイベントの発生率

アログリプチン投与群:12.7%、プラセボ投与群:13.4%(HR:0.95、片側信頼区間1.14)

その他副次

評価項目

・心血管イベントによる死亡

アログリプチン投与群:112例 4.1%、プラセボ投与群:130例 4.9%(HR:0.85、95%信頼区間:0.66-1.10、p=0.21)

・心血管イベントによる死亡を含む全ての死亡

アログリプチン投与群:153例 5.7%、プラセボ投与群:173例 6.5%(HR:0.88、95%信頼区間:0.71-1.09、p=0.23)

・その他

低血糖、悪性腫瘍、膵炎、透析導入、血清アミノトランスフェラーゼ値上昇については、アログリプチン投与群とプラセボ投与群でほぼ同等。すい臓がんの報告はなし。

重篤な副作用発生率はアログリプチン投与群:33.6%、プラセボ投与群:35.5% (p=0.14)

アログリプチン投与量

・投与量は推算糸球体濾過量(eGFR)に応じて調整

eGFR≧60ml/分:25mg/日 (全体の71.4%)、eGFR<60ml/分、≧30ml/分:12.5mg/日 (全体の25.7%)、 eGFR<30ml/分:6.25mg/日(全体の2.9%)

HbA1c値

・アログリプチン投与群とプラセボ投与群のベースラインからの変動値比較

アログリプチン投与群:-0.33%、プラセボ投与群:0.03%、差異:-0.36%(95%信頼区間:-0.43、-0.28、p<0.001)

 

<アログリプチンについて>

アログリプチンは、ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)阻害薬であり、食事療法・運動療法で効果不十分な成人2型糖尿病の治療剤です。本薬剤は、インクレチンホルモンであるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)とグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)の不活化を遅延させることにより、インスリンの分泌を血糖値に応じて高め、血糖値をコントロールします。

アログリプチンは、食事療法・運動療法で効果不十分な成人2型糖尿病の治療剤として、単剤、並びにピオグリタゾンとの配合剤およびメトホルミンとの配合剤が承認を受けています。

アログリプチンは、オーストラリア、中国、欧州、日本、メキシコ、韓国、米国など数多くの地域で販売されています。