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大うつ病治療薬Brintellix®の米国における販売開始について

大うつ病治療薬Brintellix®の米国における販売開始について


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January 22, 2014

武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)とH. Lundbeck A/S(本社:デンマーク、コペンハーゲン、以下「Lundbeck 社」)は、このたび、成人の大うつ病治療薬Brintellix®(一般名:ボルチオキセチン臭化水素酸塩)について、米国内における販売を開始しましたのでお知らせします。Brintellixは、2013年9月30日に米国食品医薬品局より承認された後、米国内の卸売業者における流通を開始しています。本剤は、1日1回投与の経口抗うつ薬で、幅広い用量設定により、多様な患者さんのニーズに対応が可能です。

Brintellixの有効性および安全性は、6本の6~8週間の短期投与試験および1本の24~64週間の長期維持試験による7本の包括的な臨床試験プログラムにおいて評価され、成人の大うつ病の全般的な症状に関して統計学的に有意な改善効果が認められました。短期投与試験では、Montgomery-Asberg Depression Rating Scale(MADRS)あるいはHamilton Depression Rating Scale(HAMD-24)総合スコアにおける投与開始前からの変化量の平均値が有効性の評価指標として用いられました。さらに、長期維持試験において、Brintellix投与群では、プラセボ投与群と比べ、うつ病の症状が再発(MADRSの総合スコアが22以上、あるいは主治医判定)するまでの期間を、統計学的に有意に遅らせたという結果が示されました。

全世界のうつ病患者さんのうち、治療を受けているのはその半数未満であり、うつ病による経済損失は世界規模で増大し続けると予測されています1。うつ病は、2010年時点において、身体障害をもたらす原因疾患の第2位となっています2。米国では3,000万人以上が生涯の間に大うつ病を罹患すると推定されています3

Lundbeck US(米国イリノイ州)の社長であるStaffan Schübergは、「大うつ病を有する患者さんのお役に立ちたいという我々の願いが、研究、臨床試験を経て、Brintellixを必要とする方々のもとへお届けできることにつながりました。我々は、慢性かつ複雑化しやすい本疾患の患者さんを支援するという使命に、これからも情熱を持って取り組んでまいります」と述べています。

武田薬品の100%子会社である武田ファーマシューティカルズUSA Inc.(米国イリノイ州)の社長であるDouglas Coleは、「大うつ病は極めて対処の難しい疾患であり、当社は、大うつ病の患者さんに新たな治療オプションとしてBrintellixをお届けできることを大変嬉しく思います」と述べています。

以上

Brintellix(ボルチオキセチン臭化水素酸塩)について>
Brintellixは、神経伝達物質セロトニン(5-HT)の再取り込み阻害作用、また、5-HT1A受容体刺激作用、5-HT1B受容体の部分的刺激作用、5-HT3、5-HT1D、5HT7受容体拮抗作用など、複数のセロトニン受容体での作用を有すると考えられています。Brintellixは、これらの薬力学的作用を併せ持つ初めてかつ唯一の薬剤です。

BrintellixはLundbeck社が創製し、米国における臨床試験はLundbeck社と武田薬品が共同で行い、米国市場における新薬承認申請(NDA)は武田薬品が行いました。BrintellixはLundbeck 社の登録商標であり、武田薬品が使用許諾を得て使用しています。

世界保健機関(WHO)は、Anatomical Therapeutic Chemical(ATC:解剖治療化学分類)において、Brintellixを「その他」の抗うつ薬というクラスに分類しました。

6~8週間のプラセボを対照とした試験において、Brintellix投与時に最も多く発現した有害事象(発現率≧5%かつプラセボ投与群の少なくとも2倍の発現率)は吐き気、便秘、嘔吐でした。短期投与試験全体において、Brintellix 5~20mg/日を投与した患者さんの5~8%が、プラセボ投与群においては4%が副作用により治療を中止しており、最も多い副作用は吐き気でした。

6~8週のプラセボを対照とする臨床試験において、Brintellix投与群では投与開始前からの平均体重変化量に有意な影響は認められませんでした。また、12週間のBrintellix投与にて効果の認められた患者さんを対象とした、24週間のプラセボ対照・二重盲検・長期維持試験において、プラセボ投与群とBrintellix投与群の体重変化量に差はありませんでした。なお、プラセボ対照試験において、Brintellix投与群の患者さんの収縮期血圧及び拡張期血圧ならびに心拍数等のバイタルサインについても、影響は認められませんでした。

<承認用量>

Brintellix 5mg錠、10mg錠、20mg錠(食事の摂取に関わらず服用可能)

Brintellixの承認用法・用量は5~20 mg 1日1回、推奨服薬開始用量は1日10 mgであり、米国における臨床試験の結果から、高用量投与時により高い治療効果が示されたことから、患者さんの忍容性に応じて1日20mgまで増量することが可能です。高用量投与に忍容性のない患者さんは、5mg/日まで減量することが推奨されます。幅広い用量設定により、多様な患者さんのニーズに対応可能です。

<大うつ病について>

モノアミン仮説によると、うつ病の基礎的な病態生理は、中枢神経系におけるセロトニン、ノルエピネフリン、あるいはドーパミンの欠乏に起因すると考えられています。大うつ病の正確な原因は不明ですが、諸研究によると大うつ病では多数のセロトニン受容体が重要である可能性が示唆されており、生物学的及び神経系のプロセスに影響を及ぼしている可能性があります。神経系ではセロトニン、ドーパミン、ノルエピネフリン等の生化学的物質の放出により、ある神経細胞から別の神経細胞への活動電位の伝達が調整されています。

Lundbeck社と武田薬品のアライアンス関係について>

2007年9月にLundbeck社と武田薬品は、Lundbeck社が保有する気分障害・不安障害の治療薬候補である複数の化合物について、米国と日本における独占的共同開発、共同販売権に関する契約を締結しました。両社は米国におけるBrintellixの販売においてコ・プロモーションを行います。米国におけるLundbeck社と武田薬品のアライアンスは、Lundbeck社が長年培ってきた精神医学に関する専門性・知識、ならびに、プライマリーケアにおける武田薬品の経験・プレゼンスによるシナジー効果が期待されています。

1 WHO、うつ病 参照:http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs369/en/ [2013年11月26日時点]

2 Public Library of Science(PLOS)Burden of Depressive Disorders by Country, Sex, Age, and Year: Findings from the Global Burden of Disease Study 2010参照:http://www.plosmedicine.org/article/info%3Adoi/10.1371/journal.pmed.1001547 [2013年11月26日時点

3 US Department of Health and Human Services  Mental Health: A Report of the Surgeon General, December 1999.