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クリニクラウンの訪問で子どもを笑顔に~被災地における新たなチャレンジ~

入院生活を送る子どもの病室をクラウンが定期的に訪問し、遊びやコミュニケーションを通して子どもたちの成長をサポートするというユニークな活動を行っているのが『日本クリニクラウン協会』です。クリニクラウンとは、病院(クリニック)と道化師(クラウン)を合わせた造語であると、事務局長の熊谷恵利子さんは教えてくれました。

心のケアを届けたい——その想いに応える

子どもの生きる力を応援するクリニクラウンは、東日本大震災が発生した2011年3月、影響を受けた子どもたちのもとにどうやって駆けつけるか、何度も議論を重ねたといいます。
「震災直後から医療現場の状況を把握するために情報を集めました。阪神淡路大震災の経験から、長期的かつ継続的な支援が必要だと認識していましたが、定期的な訪問をするための大阪から現地までの交通費用や宿泊費が課題でした」と熊谷さんは、当時を振り返ります。

災害などが起きた際、入院している子どもたちは闘病生活のストレスに恐怖や不安などが加わり、心的外傷後ストレス症候群(PTSD)を発症することも少なくありません。同時に、自ら被災しながら医療現場で救援や治療に当たり続ける医療スタッフの疲弊も大きく、バーンアウト(燃え尽き症候群)の防止を含めたケアも大きな課題となります。

このように速やかな支援が求められるなか、私たちはタケダ・ウェルビーイング・プログラムを通じて、心のケアや不安の軽減やストレス解消を目指し、被災地域で入院している子どもたちのもとにクリニクラウンが訪問する取り組みの支援を決定しました。

継続支援で派遣地域を拡大

第1期の助成より、2011年4月からの半年間で被災地域の4病院にクリニクラウンが計18回訪問し、子どもたちに笑顔を届けることができました。訪問を通じてクリニクラウンに対する要望が高まり、震災半年後にストレスが表面化する子どもたちも多かったことから、継続助成によって派遣地域を拡大していき合計37回の訪問を実現。ご家族からは、「子どもがあんなに喜ぶとは思わなかった。精神的にも良いので定期的に来て欲しい」「震災後、あまり笑わなくなった子どもの笑顔を見ることができて本当に良かった」と、子どもたちの笑顔を引き出すクリニクラウンを歓迎する声が寄せられたことを熊谷さんは笑顔で報告してくれました。

また、救援や治療を続ける医療スタッフからも「病棟の雰囲気が明るくなっていくのを肌で感じた」「クリニクラウンが来てくれたことで子どもや家族だけではなく、スタッフも癒され、自然に笑顔になった」という感謝の声があがり、活動の自信とさらなる使命感につながったといいます。

「タケダ・ウェルビーイング・プログラムに助成いただいたことで、震災後1年間の被災地の状況と医療現場の様子、クリニクラウンによる支援活動などを記録した『クリニクラウン特別派遣報告書 』を発行することもできました。手に取っていただいた人々から、当時の病院の状況を知ることで長期療養の子どもの日常、子どもに向き合う家族や医療者の想いが伝わり、そのうえで必要とされるクリニクラウンの存在が伝わってきたと感想が届き、活動の意義を実感できました」
熊谷さんは、この経験が新型コロナウイルス感染症の影響で寂しい思いをしている子どもたちの支援にも活かされると語ります。
東日本大震災の被災地域支援は、タケダが10年以上継続し、力を入れている活動の1つです。タケダ・ウェルビーイング・プログラムを通じた日本クリニクラウン協会への支援終了後に、その活動の重要性を踏まえ、クリニクラウン東北派遣事業を3年間支援しました。タケダ・ウェルビーイング・プログラム第3期の助成も決定し、熊谷さんたちの新たな取り組みを引き続き支援していきます。

タケダ・ウェルビーイング・プログラムでの支援実績

第1期(2011年)
被災地域を中心とした小児医療施設へのクリニクラウンの特別派遣

  

認定特定非営利活動法人日本クリニクラウン協会 公式サイト 

  

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