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デング熱と闘う、社会的不平等に取り組む


デング熱と闘う、社会的不平等に取り組む

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April 29, 2024

ベアトリス・レーシュは、自分と同じ価値観を持つ企業を探し求めていました。そして、彼女が見つけたのはタケダでした。

ベアトリスは話を途中でやめ、眼鏡を外しました。彼女は懸命に涙をこらえ、目頭を軽く押さえました。30年経った今でも、この話をするときに胸が詰まります。

彼女は、全寮制の学校で学んでいた11歳の頃を思い返しました。ある日、校長室に呼び出された彼女は、孤児だった自分を貧困から助けてくれた育ての母がデング熱で危篤状態であると知らされました。そして、すぐに帰って母に会うよう言われました。

「母はすっかり生気を失っていました」と、彼女は話します。「治療法がなかったため、医師は母を家に帰しましたが、幸いにも母は数カ月後に回復しました。心落ち着かない毎日で、私は希望を失いそうでした」

教育の恩恵


希望―。それは、育ての母がベアトリスに贈ったものでした。ベアトリスは4歳まで10代の叔母に育てられました。その後数年間は、さまざまな人と一緒に暮らしました。ベアトリスの家族は彼女を学校に通わせる余裕がなかったため、ベアトリスはメイドやベビーシッターとして働きました。8歳の頃、タイ北部の畑で野菜を収穫する仕事に就きましたが、1日しか続きませんでした。

「炎天下で1日中働き、もらえた給料は50セントほどでした」と、彼女は振り返ります。「これでは貧困から抜け出せないことは分かっていました。そして、教育が必要なことも分かっていました」

ベアトリス・レーシュの写真

ベアトリス・レーシュ グローバルマニュファクチャリング&サプライ オペレーショナルエクセレンス デプロイメントリーダー

彼女は幸運にも、ドイツ人の宣教師家族であるレーシュ一家と出会いました。レーシュ一家は、彼女を里子として引き取り、全寮制の学校に入れてくれました。彼女は14歳のときにレーシュ一家と共にドイツに移住し、その2年後に彼らの養子となり、レーシュの姓を名乗ることになりました。彼女は学問に優れ、最終的には機械工学と経営学の修士号を取得しました。キャリアの最初の10年間はさまざまなプロジェクト管理職に就き、その後自分の価値観を反映する企業を見つけたいと考えるようになりました。

「ここはまさに私が働きたい場所です」


ベアトリスにとって、その企業はタケダでした。彼女は、タケダが世界中の新興市場で公平な医療アクセスに向けた取り組みを行っていることを知り、感銘を受けました。2022年初め、タケダについて調べていた彼女が、ある動画のリンクGo to https://www.youtube.com/watch?v=tXDtzVzqVNEをクリックすると、クリストフ・ウェバー社長CEOが何世紀も続くタケダの信念について語っていました。その信念は「すべての人を大切にすることがビジネスを成功させるための最善の方法である」というものでした。彼女は、タケダの価値観が伝統によって形作られていることに大きく心を動かされました。

「世界人口の85%が発展途上国に住んでいるにもかかわらず、発展途上国は医薬品市場の30%しか占めていないため、タケダがそれを変えたいと彼は語っていました」と、ベアトリスは話します。「私は心の中でつぶやきました。『これが何百年もの間、その価値観を守ってきた企業なのだ』」と。

数週間後に受けた採用面接で、彼女はタケダがまもなくデング熱ワクチンを上市することを知りました。タケダが持つ伝統と革新的なアプローチを組み合わせながら問題解決に取り組んでいることに、彼女は感動しました。

若い頃のベアトリス

「本当に驚かされました。ここはまさに私が働きたい場所です」と、彼女は話します。

そして彼女は、チューリッヒのグローバル マニュファクチャリング&サプライ部門のオペレーショナル エクセレント デプロイメント リーダーとして採用されました。2022年11月の入社前に、彼女はバリ島で休暇を過ごしました。そこでヨガクラスを満喫していたとき、生徒の一人がデング熱にかかりました。

「幼少期のあの体験が再びフラッシュバックしました」と、ベアトリスは話します。「この疾患がいまだに解決策が必要な問題であることを思い知らされました」

「これまでの経験が、彼女を輝かせているのです」


彼女のマネジャーであるコンスタンチン・ポポフは、ベアトリスが彼のチームに最適なのは明らかだと話します。

「これまでの経験が、彼女を輝かせているのです」と、Small Molecules and Oncology Operating Unitのエンタープライズ エクセレンス ビジネス パートナーであるコンスタンチンは話します。「タケダと彼女の価値観はよく一致しています」

ベアトリスは、その価値観を仕事以外でも行動につなげてきました。この5年間は、ポジティブ組織行動学に関する博士号取得に取り組んできました(来月には口述試験を行いたいと考えています)。さらに、タイの孤児たちが教育や起業家としてのスキルを通して貧困から抜け出せるよう、社会的課題解決に焦点を当てた事業の立ち上げに取り組んでいます。例えば、彼らがクリスマスカードをデザイン・制作し、クリスマスマーケットで販売できるようサポートしました。

昨年の夏、彼女のもとに国際ロータリーから連絡がありました。タイの恵まれない子どもたちを、ビジネスやテクノロジースキルを学べるフィンランドのキャンプに招待したいとのことでした。

「選考を手伝ってもらえないかと頼まれました。私がタイの子どもたちや地域のことを知っているからです」と、彼女は語ります。

しかし、このプロジェクトはまだ実現していません。昨年12月、国際ロータリーの担当者がタイに滞在しているときにデング熱に感染したためです。

「信じられないですよね? デング熱は何度も私の目の前に現れます」と、ベアトリスは話します。「デング熱の脅威と闘っている企業で働けて、とても嬉しいです」